【浜口京子 気合でGo!】(東京五輪レスリング女子76キロ級3位決定戦で敗れた)皆川博恵選手、よく頑張りました。会場の取材エリアで直接話すことができました。「ありがとう。おかげで自分が五輪に出ているような気持ちになれた。よく頑張ったよ」と声をかけました。2人で号泣してしまいました。互いに最重量級で世界を目指し、汗を流してきた者同士。今はとにかく褒めてあげたい。

 今日の皆川選手は、いい手さばきで攻めていました。闘牛士のようなマタドールになれていた。でも、相手はチャンスに一気にたたみかけてきました。

 海外の最重量級で戦う怖さはよく分かっています。身長もパワーも全然違う。土性選手のいる68キロ級もそうです。高い壁にぶつかっていくようなものなんです。日本の最重量級ではまだ五輪金メダルがありません。でも今大会の皆川選手の戦い方が、今後の日本の方向性を示してくれたと思います。相手をいなす手さばき、軽快な動き、そしてタックルという技術で対抗する。さらにパワーもつければ鬼に金棒です。私にも夢ができました。いつか、日本女子最重量級の後輩が金メダルを取る姿を見たい。私も微力ながら協力していきたいです。

 そして、文田選手。決勝では相手に前に前にと圧力をかけられ、なかなか自分の組み手にさせてもらえませんでした。私が注目したのは試合後の姿です。立派でした。泣いて感情を出し、とても人間らしかった。そして何より「恩返しをしたかった」と周囲への感謝の気持ちを忘れていなかった。素晴らしいではないですか。文田選手はパリ五輪を目指すそうです。次は絶対金メダルを取れます。東京タワーの下で銀メダル、そしてエッフェル塔の下で金メダルです。エッフェル塔が待ってるぞ!

(アテネ、北京五輪女子72キロ級銅メダリスト)