五輪競技入りの道も再び開ける? 今年から国際レスリング連盟(FILA)改め、世界レスリング連合(UWW)に生まれ変わったレスリングで、グレコローマン、フリー、女子以外の格闘技種目の活性化に注目が集まっている。五輪競技存続問題の影響で憂き目を見ていた「グラップリング」がその一つ。新体制が整備されたことで、表舞台への“復活”の兆しが見えてきた。

 昨年、五輪競技から除外されるピンチに立たされたレスリングは、新たな改革を推し進めた。階級変更やルール改正など、レスリング競技の変革はもちろん、国際オリンピック委員会(IOC)から高評価を受けるために、マイナスになるような要素は一から見直した。その中で憂き目に遭ったのがグラップリングだ。グラップリングは2006年に“関節技があるレスリング”という形で、当時のFILAがレスリングの一つのスタイルとして認定した。除外問題が起こるまでは、FILAの中の非五輪種目として、ビーチレスリングやパンクラチオンなどとともに地位を確立。FILA主催の世界選手権が開かれるなど、人気を博していた。

 しかし、IOCがグラップリングにいいイメージを持っていない、という情報があり、一転して“自粛ムード”に。FILAから名前を変えた新生UWWのサイトからもグラップリングという名前は消え、パンクラチオンの中の1種目としてひっそりと存続する形となった。

 しかし、世界的に見ればグラップリングは知名度が高い競技。有名選手が多いブラジリアン柔術やサブミッションレスリングなど、ルールが近い他競技の選手も参加しやすいため、普及発展の機会もある。関係者によれば、UWW内にも「グラップリングという名称を復活させたい」という声が上がっており、早ければ来年早々にも、ロシアの民族格闘技・ヤクートレスリングなどとともに、非五輪競技の中に復活する可能性が出ているという。

 すったもんだの末、レスリングは五輪競技存続を果たしたばかりだが、将来的にはグレコ、フリー、女子だけではなく、グラップリングの五輪競技入りもあり得る。まるで格闘技団体のように名前を変えたUWWは、新たな風を吹かせることができるか。