レスリングの世界選手権(ウズベキスタン)で、日本女子は吉田沙保里(31)や伊調馨(30=ともにALSOK)ら4つの金メダルと銀メダル1つの好成績を挙げた。国別対抗得点でも55点となり、2年連続19回目の優勝となった。

 同選手権12連覇で、15大会連続で世界女王になった吉田、9度目の優勝を果たした伊調はもちろん、若手選手も力を付け王国の地位を確固たるものにしている。すべては日々の練習のたまものだが、以前よりも練習に力を入れやすくなった変化が一つあった。

 女子チームの「虎の穴」として知られる新潟県十日町市にある桜花レスリング道場は、数年前まで携帯電話が通じなかった“秘境”にある。周囲には娯楽施設もない田舎町でトレーニングだけに集中できる環境だ。廃校を利用した施設は1階が練習スペース、2階が選手の宿泊施設になっているが、昨年から冷房機器が設置されたのだ。

 たかが冷房機器…と思われるが、山中といえども、近年の猛暑は同じ。練習でくたくたになっても、夏場には暑くて眠れないこともあった。冷房機器が設置されたことで、睡眠を取りやすくなり「おかげさまで快適。暑さが全然違いますよ」(伊調)とさらに練習向きの環境になった。

 毎年、世界選手権や五輪前の夏場に必ず合宿をし、他の時期にも数回山中に集まる重要な場所。小さな変化も、選手には大きくプラスになったはずだ。