ハートの強さで勝ち取った銅メダル

2012年08月12日 18時00分

【永田克彦:鋼のレスリング解析】

 湯元進一選手(レスリング男子フリー55キロ級)は執念の銅メダル獲得でした。2回戦、準々決勝あたりの動きはやや硬さも見られましたが、準決勝や3位決定戦での戦いぶりは堂々たるものでした。準決勝で惜しくも敗れた悔しさ、日本伝統の階級で何としてもメダルを取るんだという志の高さ、ハートの強さを感じました。

 準決勝の第2ピリオドで、湯元選手がアンクルホールドの連発で4ポイントをリードした時、キンチェガシャビリ(グルジア)が足を痛めたとタイムをとり、必死に足を冷やして試合を中断しましたよね。あれはおそらく“三味線”でしょう。よく外国人選手が使う「死んだフリ作戦」です。プロレスの世界でもリック・フレアーや蝶野正洋さんが使うアレです。

 第3ピリオドでは、まんまと元気にタックルで先制ポイントを奪ってましたからね。油断は禁物です。

 タックルのフェイントをかけ、相手をしつこく引き落とし続けるスタイルは湯元選手の真骨頂でした。あれは警戒する対戦相手のスタミナを奪うのに最適なんですよ。

 74キロ級の高谷惣亮選手(1回戦敗退)はやっぱり世界大会での経験不足と、全体的なパワー不足が敗因です。ボクもあの階級で戦ったから分かりますけど、74キロ級にもなると、欧米各国の選手は皆、体の厚みが違います。まだ23歳と若いので、4年後にはさまざまな課題を克服し、パワーアップして活躍することを期待しています。

(シドニー五輪レスリング銀メダリスト)