レスリングの全日本選手権(東京スポーツ新聞格技振興財団協賛)最終日(20日、駒沢体育館)、男子グレコローマン60キロ級決勝で、東京五輪代表で世界王者の文田健一郎(25=ミキハウス)が鈴木絢大(22=日体大)を2―1で下し、2年ぶり3度目(59キロ級を含む)の優勝を果たした。

 互いに手の内を知る同門の後輩との対戦。大技は出せなかったが、確実に勝利した。「新しい投げ技を課題にやってきた。ポイントにつながらないところもあったが、糸口は見つけられた。納得のいくところと、今後の課題が明確に分かったところは良かった」と振り返った。

 この日、2019年のアジア連盟「レスラー・オブ・ザ・イヤー」受賞を受け、日本協会から表彰されたリオデジャネイロ五輪銀メダリストで世界王者の太田忍(26)も試合を見守った。総合格闘技転向を決め、大みそかの「RIZIN.26」(さいたまスーパーアリーナ)を控える太田は、文田にとって目標としてきた先輩であり、東京五輪代表を競ったライバル。文田は「忍先輩は大きな試合を控えているのに見てくれてありがたい。違う道に進むことになったが『お前とやれて良かったよ』と言ってもらえるぐらいの内容で日本のレスリング界を引っ張っていきたい」と、気合を入れた。