狙われるのは女子アスリートだけではない。日本レスリング協会は7日、大阪・堺市の金岡公園体育館で行われた西日本学生秋季リーグ戦で、盗撮目的で会場に侵入した男を見つけ、関係者が大阪府警に引き渡したことを明らかにした。大会には男子選手のみが参加している。

 大会は無観客で開催。一般の人は会場に入れないはずが、カメラを持ち歩いていた男を発見した。関係者が事情を聞いたところ、しどろもどろに。撮影した写真を確認し、数枚から盗撮目的と見抜き、大阪府警に連絡して身柄を引き渡したという。

 現在、日本オリンピック委員会(JOC)などスポーツ関係団体は、選手への写真や動画による性的ハラスメント撲滅のため「アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為」と訴える声明を発表。対策を講じている。

 女子選手が対象に思われるが、体にフィットする試合着を着用するレスリングではこれまでも男子選手が被害にあってきた。観客席から望遠レンズで男子選手の下半身を撮影したり、大会に写真記者として潜入する者や、長野・菅平合宿を1泊2日で取材した自称記者が浴室にカメラを置き、盗撮したこともあった。近年、全日本選手権などでは観客席からの望遠レンズ撮影を禁止。警備員を配置し、不審な者には厳しい対応を取っている。

 今回は西日本学生連盟のお手柄だったが、日本レスリング協会の福田富昭会長(78)は「日本協会としても引き続きしっかりと対策を講じていきたい」と気を引き締めている。