国際レスリング連盟(FILA)で、格闘技部門が一新される見通しとなった。昨年、レスリングは2月に2020年五輪で実施競技除外候補となりながら9月に存続決定と激動の一年を経験した。再建へ向けさまざまな改革が行われるなか、FILA副会長で日本レスリング協会の福田富昭会長(72)が本紙取材に注目発言。総合格闘技(MMA)を含む各種格闘技の五輪競技入りへ新たな動きが出ているという。

 レスリング界は昨年、20年五輪実施競技除外問題で揺れた。組織改革を断行し何とか存続へとつなげたが、今後も人事刷新やルール、階級の変更など新たな計画を進めている。そんななか、レスリング以外の格闘技部門でも改革が進められるという。

「日本レスリング協会の中に日本格闘競技連盟があるように、FILAのなかにノンオリンピックデパートメント(非五輪部門)を作り、そこにいろんな格闘技を入れようという動きがある。6月の理事会で決まる見通しです」(福田会長)

 FILAはフリー、グレコローマン、女子に続く4つ目のカテゴリーとして「非五輪部門」を設置。そこに「パンクラチオン、クラッシュ、サンボ、柔術、総合格闘技、アフリカの相撲かイランのコシティ、トルコのヤールギュレシ、モンゴル相撲…いろいろな格闘技が入る可能性があります」。

 入った競技はFILAへ登録費を払い、国際大会などFILAが主催者になって大会を行うことになる。これまでも、FILAはレスリング以外の格闘技に着目してきたが、現時点ではビーチレスリング、パンクラチオンなど少数に限られている。今後は非五輪部門としてまとめ、さらに多くの種目の参加を促す予定だ。

 FILAに入るメリットは、普及発展のしやすさと五輪種目入りが近づくこと。現行では「非五輪部門」としてスタートするが「非五輪部門の競技のなかで、世界的に統括され、普及しており、これなら大丈夫という優秀な団体をFILAが五輪に推薦していく形になると思う」。

 とはいえ、レスリングそのものも五輪の核となるコア競技定着へ再建中だ。レスリング競技第4の種目「格闘技」の五輪入りは簡単ではない。福田会長は「5年や10年じゃ難しいが、格闘技界に光を持たせないと発展につながらない。単独じゃ五輪には入れないじゃないですか。FILAの中に入っておいて一生懸命やって、世界的になれば可能性はある」。あきらめずに、地道に活動を続ける。