沙羅 五輪を超えた究極の目標

2014年01月13日 16時00分

優勝した高梨沙羅

 スキー・ジャンプ女子W杯個人第6戦は11日、北海道・札幌市の宮の森ジャンプ競技場(HS100メートル、K点90メートル)で行われ、高梨沙羅(17=クラレ)が合計254・5点で優勝。W杯女子歴代最多となる通算14勝目を挙げた。ホームで無敵の強さを見せたが、一方で大会に“フル参戦”を続ける高梨を心配する声もある。体調管理のリスクもありながら、なぜ休まないのか。そこには今シーズンにかける究極の目標があった。

 

 

 雪が舞う札幌で行われたW杯は高梨の独壇場になった。

 

 1本目は99メートルで、この日の最長不倒をいきなり記録。2本目も94・5メートルで、2位以下に大差をつける圧勝だった。高梨は「遠くからこんなに寒いのに、足を運んで見に来てくれた人たちに楽しんでいただけたかなと思います。それがうれしいです」と笑顔をはじけさせた。

 

 今季5勝目。通算14勝目はタイで並んでいた“もう一人のサラ”ことサラ・ヘンドリクソン(19=米国)を突き放して、歴代最多記録だ。それでも高梨は「もっともっと技術的にレベルアップできるように頑張りたい」と浮かれることなく、気を引き締めた。

 

 もはや異次元の域にいるが、一つだけ気になることがある。高梨は今季国内外を問わず、試合に出場し続けているのだ。2連覇を果たした夏の国際大会グランプリ(GP)は6大会を完走。合間には国内で4大会に出た。10月にはソチで行われたロシア選手権で優勝。W杯もここまで6戦すべてに出場した。限られた国内滞在もジャンプ場で練習に充てるなどほとんど休みはない。

 

 トップ選手であれば、疲労の回復や練習のため大会を欠場してもおかしくない。浅田真央(23=中京大)や高橋大輔(27=関大大学院)などフィギュア勢は最たる例。また夏季五輪でも柔道やレスリングなど、本番を見据えて調整を優先させる選手は多い。女子ジャンプでも伊藤有希(19=土屋ホーム)は同様の理由で3、4日のW杯チャイコフスキー大会を欠場している。しかし、高梨にはソチ五輪だけではない夢があった。

 

「まずオリンピックより、『世界ジュニア』(28日~、イタリア・バルディフィエメ)を目指しているんじゃないですか。なおかつ、W杯の総合優勝も考えている。そっちのほうがたぶん、本人は頭の中にある」。こう代弁するのは父の寛也さん(45)だ。ソチ五輪の金メダルだけではなく2年連続のW杯総合優勝、3年連続の世界ジュニア制覇を合わせた前人未到の“3冠達成”が目標だという。

 

 4年に1回、開かれる五輪は最高峰の舞台。世の関心が注がれるのは仕方がないとはいえ、他をおろそかにするつもりもない。「ボクたちもそこだけ意識しているわけじゃないですし、1年間通じて強いっていうのが本当に一番強い選手」(寛也さん)

 

 裏を返せば、それが高梨自身の描く「五輪金メダリスト」の姿というわけだ。今シーズン、オフの間からフルに戦い抜けるだけの体力や筋力をつけてきたのもこのため。高梨が胸に秘める強さへの探究心は、想像をはるかに超えている。