2016年リオ五輪レスリング女子48キロ級金メダルの登坂絵莉(26=東新住建)が元レスリンググレコローマン全日本王者で総合格闘家の倉本一真(33)と入籍したと発表し、大きな注目を集めている。静かに愛を育んできた五輪金メダリストとMMAファイターの“サプライズ婚”。2人をよく知るレスリング関係者からは、奥様レスラーや“霊長類最強女子超えベビー”誕生を期待する声が上がった。


 登坂は5日に自身のSNSで、倉本との笑顔のツーショット写真と直筆のメッセージを添付して結婚を報告。「リオ五輪後、ケガでなかなか思うような練習ができない日々が続き、気持ちが落ちていた時、良き理解者としていつも支えてもらい、前を向くことができました。そして時間を過ごす中で、これからの人生も共にしていきたいと思うようになりました」と経緯を説明した。

 複数の関係者によると、2013、14年の世界選手権に揃って出場するなど面識のあった2人は、3年前の17年夏から交際をスタート。交際を知るレスリング関係者は「2人とも明るい性格で、すぐ気が合ったと思う。登坂も総合格闘技が大好きで、自ら総合の練習をしたこともあると聞いている。違う競技に挑戦する倉本の頑張りも理解して互いにサポートし合っていた」。お似合いのカップルだという。

 倉本はレスリングで全日本選手権3連覇を達成。13年世界選手権では、リオ五輪で金メダルを獲得したイスマエル・ボレロモリナ(28=キューバ)を下すなどして、7位入賞を果たした。身体能力が高く瞬発力に優れ、豪快に持ち上げる投げ技が得意。倉本が在籍した自衛隊所属の日本レスリング協会・笹山秀雄女子強化委員長(52)は「見ていて何が起こるか楽しみな選手だった。いつも強気で負けず嫌い。真面目に練習に取り組んでいた」。総合転向後も持ち前の身体能力を生かして「修斗」で活躍中だ。

 登坂は、実力はピカイチの上に人間性も抜群。笹山氏は「明るく礼儀正しく、誰からも好かれる性格。気配り上手な吉田沙保里の近くにいたので、チームに入っても周囲への配慮ができる。練習でもいつも声を出し、場を盛り上げてくれる」とベタ褒めだ。

 互いにアスリートとして超一流とあって、西口茂樹強化本部長(55)は「とてもおめでたいこと。いずれ2人のお子さんが生まれたら、吉田沙保里を超えるような運動能力が高いジュニアになりそう。楽しみにしています」とも期待する。

 さらには“奥様アスリート”として現役続行を望む声も。東京五輪代表の道が断たれた登坂は、今後について直筆メッセージで「目標としていた東京五輪出場はかなわず、もう一度4年後を目指すと決心することはまだできておりません。まずは、ケガを治すことを最優先にトレーニングを続けながら、今後のこともしっかり考えていきたいと思っております」と記したが、日本女子にとっては貴重な存在だ。

 笹山氏は「後悔しないよう、もういい、やり切ったと思えるまでやってほしい。気持ちの強い登坂なら、いくらでもできると思う。小原日登美も結婚してから強くなりましたから」と断言。結婚後に12年ロンドン五輪金メダルを獲得した小原さんのように、さらなる成長が期待できるという。

 心強い伴侶を得て、さまざまな活躍を見せてくれそうだ。