レスリングがWWE&UFCと“交流戦”構想

2013年09月11日 16時00分

ロンドン五輪金の米満がWWEのレスナー(囲み写真)とイベント交流も

 2020年東京五輪で実施競技に滑り込んだレスリングが、世界の大手プロ格闘団体と交流するプランを温めている。五輪残留が決まった国際オリンピック委員会(IОC)の総会(ブエノスアイレス8日=日本時間9日)でも、IОC委員から厳しい指摘を受けた。今後も改革続行が求められる中、難題となっている「大衆受け」のため、プロアマの垣根を飛び越える構えだ。

 

 IОC総会では委員から「ルールを変えてどう魅力的になったのか」「女子のグレコローマンを行わないのは不公平」など、厳しい質問があった。国際レスリング連盟(FILA)のラロビッチ会長も、実施競技入りを果たしても「われわれにとっては第一歩にすぎない。これからも進化を続ける」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 

 古代五輪からの伝統をつなぐことができたものの、これで良しとすれば今後も同じ事態を招きかねない。これまでにマルティネッティ前会長の解任や、女性役員の登用、組織の近代化、ルール改正、女子の階級増などの改革を進めてきた。今後は最大の課題でもある「人気アップ」に力を入れることになる。

 

 除外候補になった原因としては五輪期間中のテレビ視聴者数、インターネットアクセス数の少なさが挙げられた。日本レスリング協会会長でFILA副会長を務める福田富昭氏(71)は、この理由の一つにプロレス、総合格闘技との関係の薄さを挙げている。

 

「テニス、サッカー、バスケットといった五輪の人気競技には、同じルールでプレーするプロが存在する。でもレスリングはプロレス、総合格闘技で出身選手が多数活躍しているにもかかわらずルールが違ってしまう。これは世界的な普及にとっては大きな問題なんです」

 

 確かにプロとルールが同じなら、人気プロ選手の五輪出場が可能になって視聴率もアップする。レスリングが最も望むことはアマとプロのルールを近づけることだが、レスリング出身選手の参加するプロ競技のルールは千差万別。競技としての“あり方”も異なるだけに統一は非常に難しい。

 

 そこで第一歩として「まずはWWEでもUFCでも、人気のあるプロ団体と共同イベントを作ってどんどん交流していくことが必要でしょう」(福田会長)と提案。

 

 人気が高いプロ団体の選手と現役五輪戦士たちが交流試合を行っていけば、格闘技ファンの五輪レスリングへの興味も増してくる。世界最大のプロレス団体「WWE」と総合格闘技の最高峰「UFC」で頂点に立ったブロック・レスナー(36=米国)も、レスリング出身。そんなエンターテインメントを知り尽くすプロの知恵を借りない手はないという。

 

 FILAのラロビッチ会長も「大衆受け」するためにシングレット(ユニホーム)を変えたり、選手入場の仕方について改良するプランを挙げている。

 

 さらに福田会長は「テレビ、新聞、雑誌あらゆるメディアにレスリングを登場させる努力をしなければならない。レスリングの漫画やドラマでもいい。スポーツを見ない人の目に留まる活動をする」と競技以外での認知度アップにも尽力するつもり。今回の除外騒動を糧に新たな歴史を作り出せるか。