圧勝ではなく薄氷の勝利だったレスリング

2013年09月10日 16時00分

 国際オリンピック委員会(IOC)は8日(日本時間9日)にブエノスアイレスで総会を開き、2020年東京五輪の実施競技の残る1枠にレスリングを選んだ。レスリングは今年2月に除外候補となってからトップの交代、ルール改正や女性役員の登用などの改革を進めたことが認められ早々に当確マークが点灯していた。ところが、質疑応答ではIOC委員から衝撃質問の嵐。投票でも野球・ソフトボール(24票)、スカッシュ(22票)を相手に獲得した49票は、実は圧勝ではなく、薄氷の勝利だった。

 

 2月の除外通告後、国際レスリング連盟はトップとしての働きを怠ってきたマルティネッティ会長を解任。ラロビッチ新会長のもと、改革を推進してきた。さらにIOC理事、委員から「レスリングを除外候補にしたのは間違いだった」と発言が相次いだこともあり、レスリング存続が確実視されるなか、運命の日を迎えた。


 プレゼンテーションで順調に登壇者が情熱的に残留を訴えた直後、関係者を凍りつかせる発言が飛び出した。質疑応答で、IOC委員の一人は「レスリングは五輪の核になる種目です。しかし、前の(前会長時代の)連盟では汚職や腐敗、そしてメダルが売られていることがあると聞いている。それは本当か」。これはレスリングに“八百長”があったのか?というスポーツとしての根幹を揺るがす衝撃の質問だった。


 日本レスリング協会関係者は「これじゃ、ネガティブキャンペーンだ。あの委員はライバル種目を支持しているのかもしれない」。土壇場で投げつけられた爆弾に、関係者は一様に冷や汗をかいた。ラロビッチ会長は委員発言の中のどの部分についてのことか限定はしなかったが「これまでの過ちは確かに認めたい。人々の声に耳を貸さずに来てしまった。二度とないように行動したい。連盟の近代化を図りたい」と答え、反省をアピールするしかなかった。


 その後もIOC委員からの質問が続き「ルールを変えてどう魅力的になったのか」「女子のグレコローマンを行わないのは不平等では」。ライバルのスカッシュ、野球・ソフトではなかった“口撃”の数々。あわやのムードが流れ始めた。