東京スポーツ新聞社制定「2019年度プロレス大賞授賞式」が16日、都内のホテルで行われた。

 レスリング特別表彰を受けた世界選手権男子グレコローマン63キロ級金メダルの太田忍(26=ALSOK)が新たな目標を掲げ、2020年のスタートを切った。

 銀メダルを獲得したリオ五輪(59キロ級)から3年半。グレコを引っ張ってきたエースは、東京五輪イヤーもレスリング界を盛り上げることを誓った。「もし、今年も非五輪階級の世界選手権があるなら63キロ級で出たいと思っている。6月の全日本選抜にも出場する予定です」

 昨年末の全日本選手権では五輪階級の67キロ級に階級を上げ出場したが、まさかの初戦敗退。東京五輪出場の道が絶たれた。去就が注目されるなか、再びマットに立ち世界を目指す意向を固めた。それだけでなく、ライバルとして東京五輪60キロ級代表を争った文田健一郎(24=ミキハウス)や、全日本選手権67キロ級で優勝し、五輪アジア予選(3月、西安)で出場権を狙う高橋昭五(25=警視庁)ら、仲間たちに惜しみなく協力するつもりだ。

「スパーリングの相手でもなんでも協力できれば。健一郎は世界を2回取っているけど、五輪はまた違う側面がある。自分の経験が生きるなら少しでも力になりたい。みんな、指導者に聞きにくいことを聞いてくれてもいいし、ストレスたまったら愚痴を聞いてもいいし」

 魔物がすむと言われる4年に一度の五輪で、メダルを獲得する難しさを知る数少ない男の存在はなんとも心強い。19年の世界レスリング連合(UWW)選出「レスラー・オブ・ザ・イヤー」男子グレコで2位(アジア連盟選出では1位)に選ばれた太田は、度量の大きさで今年もレスリング界を引っ張る。