レスリング・グレコローマンの世界チャンピオンコンビが、あえて敵の懐に入り技術を磨く。世界選手権60キロ級覇者の文田健一郎(23=ミキハウス)と同63キロ級優勝の太田忍(25=ALSOK)が国別団体戦グレコワールドカップ(28、29日、イラン)に出場する。

 W杯は世界選手権の国別対抗得点成績上位8か国しか出場できないハイレベルな大会で、日本グレコは1994年大会以来、実に25年ぶりの出場だ。大会を前に2人は国別対抗得点トップ、ロシアの代表合宿(ソチ)に乗り込む。2020年東京五輪代表に決まっている文田は「ロシアは安定して強い。できるだけ相手の得意なところを引き出して、東京五輪に向け自分の対策につなげたい」と意気込んだ。

 2人とも世界選手権ではロシア勢を決勝で下したが、失点している。笹本睦コーチ(42)は「ロシアはローリングで得点を取ることに徹底している感がある。テクニック的に脅威。こちらの手の内はあまり出さず、相手の技を体感して対策を練りたい」と狙いを話す。

 五輪階級の67キロ級で東京五輪出場を目指す太田は肉体改造中。筋量を増やし、すでに73キロある。W杯では67キロ級で起用される予定で「ロシアで今の体にレスリングを順応させ、試合に臨みたい」。ライバルとの練習でさらに強化を積む。