【カザフスタン・ヌルスルタン16日発】レスリングの世界選手権3日目、文田健一郎(23=ミキハウス)最大のライバルで日体大の先輩にあたる太田忍(25=ALSOK)は、非五輪階級の男子グレコローマン63キロ級決勝(15日)でロシア選手を下し、金メダルを獲得した。

 初の世界一に輝き「気持ちいいですね。やっと世界一が取れました。非五輪階級ですが、しっかりサポートしてもらえたので、優勝しないとおかしい大会だった。ここまでやってもらい、少しは応えられたかなと思います」と周囲のサポートに感謝しつつ、安堵の表情を見せた。

 一方で、非五輪階級での優勝に「五輪出場に対しては何の意味もないこと」と心境は複雑だ。主戦場だった60キロ級では、今大会の代表を争った文田が決勝に進み、五輪出場を決めた。太田が最も力を発揮できる階級での東京五輪への道は閉ざされたが「どんな状況でも五輪への希望は捨てない」と話している。今大会で出場枠が獲得できなかった1つ上の67キロ級で、五輪出場を目指すことになりそうだ。