【アジア選手権】伊調まさかの銅 復活あるのか

2019年04月27日 16時30分

【中国・西安26日発】絶対女王に完全復活の日はくるのか。レスリングのアジア選手権第4日、五輪5連覇を目指す女子57キロ級の伊調馨(34=ALSOK)が準決勝で昨年アジア大会優勝のチョン・ミョンスク(北朝鮮)に4―7で敗れ、優勝を逃した。3位決定戦ではベトナム選手にフォール勝ちして銅メダルを獲得したものの、2016年リオデジャネイロ五輪以来の国際大会復帰戦は今後に不安を残す結果となった。

 前人未到の五輪5連覇への道の険しさだけが際立つ結果となった。初戦の2回戦は厳地恩(韓国)に快勝したが、相手の頭が当たって差し歯が折れるアクシデント。動きにも納得がいかず、修正を図って迎えた準決勝は開始約30秒で組み際の鋭い両脚タックルをまともに食らって2点を失うと、その後も片脚タックルから体を回されて失点した。1―7で迎えた第2ピリオドは攻撃も単発に終わり、敗戦。大会前は「いろいろな選手と戦いたい」と昨年世界女王の栄寧寧(中国)との一戦も見据えていたが、実現はしなかった。

 伊調が外国勢に敗れたのは16年1月のヤリギン国際でモンゴル選手に屈して以来。敗戦後は「(相手の)タックルへの反応が鈍かった。組み手の練習も足りなかった」と反省の弁を述べた。昨年12月の全日本選手権で復活優勝を遂げた後は、両足首を痛めて練習量を減らさざるを得なかったという誤算もあった。

 アジアのレベルアップが急速に進んでいることも、伊調にとっては計算外だったかもしれない。今回敗れたチョンは昨年のアジア大会女王。同大会は伊調の最大のライバルと言われる川井梨紗子(24=ジャパンビバレッジ)が62キロ級で銅メダルに終わったように、日本勢が軒並み惨敗を喫した。アジアでは昔ほど日本の有利性は消えつつある。

 とはいえ、復調途上の伊調にとって今大会の結果は、あくまで通過点。師事する田名部力氏(44)から大会前に与えられていた10個程度の課題をクリアすることに重点を置いていたように、結果は二の次だった。「腰の低さは今後の大きな課題の一つになる。試合をやって、改めてまた感じた」と振り返り「(収穫は)全てです。課題とすること、練習の方向性が分かった」と前向きに語った。

 6月の全日本選抜で優勝を果たせば、世界選手権(9月、カザフスタン)の出場権を得られ、そこでメダルを獲得すれば東京五輪出場がかなう。そのためには、まず6月に再度立ちはだかると見られる川井梨にどうやって勝つか。「今まではレスリングができる“幸せぼけ”だったかも。こんなもんじゃないです」。この言葉がある限り、険しい道のりを自ら切り開く力は、まだ伊調には残っている。