父娘の絆を深めたアニマル浜口の武勇伝

2010年11月28日 14時00分

【東スポ創刊50周年企画「時空自在」:アニマル浜口(1)】

 ド迫力にトラブルも吹っ飛んだ。女子レスリング五輪2大会連続メダリスト・浜口京子(32=ジャパンビバレッジ)は26日に中国・広州で行われるアジア大会女子72キロ級でメダルを狙う。その父で元人気プロレスラーのアニマル浜口氏(63)が1998年11月21日、都内で開催された「アジア女子国際トーナメント」の日本選手団長として隠れたファインプレーを見せた。大事な試合当日、選手らを会場に運ぶバスにダンプの運転手が難くせ。大会に支障をきたしてはいけないと団長自ら火消しに出動するや、運転手はたちどころに退散したのだった。

 当時の本紙・高木記者の記事で一部始終を再現する。

 大会には日本、韓国、台湾が参加。各国選手らを乗せたバスは会場の駒沢体育館を目指して午前8時頃、新宿のホテルを出発した。環状7号線を走行中、後方にいた大型ダンプカーが唐突に車線を変えて近づき、バスを止めさせた。「バスにミラーを割られた」とダンプの若い運転手。実際には接触していない。当たり屋のように脅し口調で運転手がまくしたてる中、浜口氏が車内から登場。「どこが割れているんだ」と一喝すると、運転手はヘラヘラ笑いながら「何でもないです」と引き下がった。

 12年たった現在、浜口氏は振り返る。

「あの大会は、まず京子が優勝しなきゃいかん。日本が団体優勝しなきゃいかん。もう一つ大切なのが、集合から試合翌日に(選手団が)解散するまで、トラブルが起きないこと。何かあったら穏便に収めなければいけない。それで自分がパッと最初に行った。向こうもアニマル浜口と分かったのかも。びっくりしたんじゃないか。無事に収まってよかった」

 乗車していた当時の監督・鈴木光氏(54)は「相手が一方的に怒鳴っていた。普通なら収まらなかったかもしれない。それがアッという間に収まった。(浜口氏に)ビビったようだった。トラブルで試合が遅れたりすれば、ホスト国の運営が悪いとなる。それがなかったのは大きかった」と証言する。京子も「バスが止まったけれど何が起こったのかは分からなかった」とした上で「父は喧嘩をしない。穏便に話し合ったのでは。さすがと思いました」と語った。

 当時51歳。「今はもう年取っちゃってじいさんですけど、随分若い時ですね」(浜口氏)、「サングラスをかけていたし、大きくてガッツリ迫力もあった」(京子)。壮年元プロレスラーの貫禄で因縁をはねつけた。勝利の美酒に酔った一夜が明け、ホテルのロビーでアタッシェケースが置き引きに遭ったが、無事警察署に届けられた。

※続く