【ハンガリー・ブダペスト25日(日本時間26日)発】レスリングの世界選手権第6日、53キロ級の奥野春菜(19=至学館大)は決勝で米国選手にテクニカルフォール勝ちし、昨年の55キロ級に続いて優勝した。

 奥野がまたも世界の舞台で超攻撃的レスリングを見せつけた。前日に左ヒジを痛め、テープを5重に巻いてマットに上がったが、パンアメリカン選手権優勝の実力者から開始15秒でバックを取って2点を先取。その後は一進一退の攻防となったが、第2ピリオドも終始先手を奪って得点を重ねた。最後はタックルを決めてテクニカルフォール勝ち(最後に相手がチャレンジに失敗して記録は11―0)。3月のW杯での対戦では7―6とてこずったが「振られないように右に回って攻撃」を徹底し、反撃の隙を与えなかった。

 ヒジの状態は決して良くなく「伸びると痛い。すごく気にした」。その影響で出足が鈍った時もあった。3位に終わった8月のアジア大会後は「マットに上がるのが怖かった」と悩んだ。それでも「自分の弱さと向き合って妥協しないでやってきた」ことで自信を取り戻して大会に臨んだ。グラウンドが課題とされていたが「今日は(相手の攻めを)返すこともできた。いい部分の方が多かった」と納得の内容だった。

 2日前の55キロ級で優勝した向田真優(21=至学館大)が東京五輪での実施階級の53キロに落とすことを決めており、大舞台の出場権を懸けて世界女王同士の直接対決が実現する。「作戦はある。身近で努力しているところを見ているので簡単に『勝ちます』とは言えないが、全力を出せるように練習していく」。ケガと恐怖心を克服した奥野は早くも次を見据えた。

 ☆おくの・はるな 1999年3月18日生まれ。三重県出身。17年世界選手権55キロ級優勝。52キロ級で14~16年に全国高校総体を3連覇し、16年の世界カデット選手権制覇。53キロ級では17年全日本選手権初優勝。今年のアジア大会3位。三重・久居高出。158センチ。