【レスリング世界選手権】川井梨紗子が金 12月全日本で伊調さんと戦う=女子59キロ級

2018年10月24日 16時30分

コーチに肩車され日の丸を掲げる川井(ロイター)

【ハンガリー・ブダペスト23日(日本時間24日)発】レスリング世界選手権第4日、女子で59キロ級の川井梨紗子(23=ジャパンビバレッジ)、55キロ級の向田真優(21=至学館大)が揃って金メダルを獲得した。2016年リオデジャネイロ五輪63キロ級女王の川井梨は今年の欧州選手権を制したエリフジャレ・エシリルマク(32=トルコ)に8―0で快勝し、昨年の60キロ級に続く制覇。向田はザリナ・シダコワ(26=ベラルーシ)にテクニカルフォール勝ちし、2年ぶり2度目の頂点に立った。パワハラ問題に揺れ、8月のジャカルタ・アジア大会で初めて金メダルなしに終わった日本女子レスリングが再起の一歩を踏み出した。

 あふれる涙をこらえることはできなかった。表彰台ではスタンドで応援していた至学館大の谷岡郁子学長にも手を振るなど笑顔が絶えなかったが、君が代が流れ、掲揚された日の丸を見つめると様々な思いが交錯。2大会連続の金メダルの重みを感じた川井梨は感極まった。

 8月のアジア大会では準決勝で敗退し、まさかの銅メダル。「東京五輪まで負けないように」というプランは早くも崩壊。しかも予期せぬ敗戦で「怖さ」まで生まれた。前日に行われた初戦から今までにない緊張感に包まれ、決勝でも体は硬くなった。

 相手の気迫に押されてタックルの処理が甘くなり、第1ピリオドは2―0。それでも第2ピリオドで2点を追加した後に4点タックルを決めた。テクニカルフォール勝ちこそ逃したが、危なげない試合運びで女王の貫禄を示した。

「表彰台ではアジア大会のことを思い出した。3位の選手に運ばれてきた銅メダルを見て、2か月前はこれだったんだ、と。日の丸が揚がり、今回は真ん中だと思った。プレッシャーを感じていたわけではなかったけど、勝てたことがうれしかった。ホッとしました」

 復活を遂げ、次の目標は東京五輪の大事な足がかりの大会となる12月の全日本選手権。今回制した59キロ級は五輪非実施階級のため、どの階級で臨むかは「明日、明後日に出場する(62キロ級の)妹の友香子の結果次第。2人で五輪に出るための階級分けを考えているので」としている。とはいえ、川井梨の“本命”は57キロ級。そこには、パワハラ騒動から復帰し、14日の全日本女子オープン57キロ級で優勝した五輪4連覇の伊調馨(34=ALSOK)のエントリーも予想されている。

 これまで伊調については口をつぐんできた川井梨だが、今回の優勝で初めてライバルについて言及した。

「小学生のころに(伊調が初めて金メダルを獲得した)アテネ五輪があって、ずっと続けているのはすごいこと。でも私も五輪を目指しているので、戦うことになったらしっかり戦いたい」

 レスリング関係者だけでなく、日本中のファンが期待する注目の一戦。東京五輪に向けた出場権争いはさらにヒートアップしていきそうだ。

☆かわい・りさこ 1994年11月21日生まれ。石川県出身。63キロ級で16年リオデジャネイロ五輪金メダル。昨年は60キロ級で世界選手権初制覇。今年8月のジャカルタ・アジア大会は62キロ級で3位。妹の友香子は今大会の62キロ級代表。160センチ。