五輪除外問題 吉田不安隠せず

2013年02月16日 16時00分

 国際オリンピック委員会(IOC)は理事会(スイス・ローザンヌ)で、2020年五輪で実施する中核競技としてレスリングを除いた25種目を選定。レスリングが20年五輪実施競技の除外候補とされ、除外ピンチに関係者の間でも衝撃が広がった。

 

 女子が採用された2004年アテネ五輪から3連覇を達成し、国民栄誉賞にも輝いた55キロ級の吉田沙保里(30=ALSOK)は「これからどうするんだろう」と不安を隠せない。マット上の勝負とは違う次元の話とあって、「自分としては世界選手権や(16年の)リオデジャネイロ五輪を目指してやるしかない」と気丈に話すが、今後への影響が懸念される。

 

 吉田や63キロ級で五輪3連覇の伊調馨(28=同)らを育てた日本レスリング協会の栄和人女子強化委員長(52)は、「IOC(国際オリンピック委員会)は、古い競技を外して新しいものを入れたいのか」とその真意をいぶかる。「吉田もショックを受けていた。彼女たちを目標にして練習している選手もいる。JOCやレスリング界だけでなく、政治家も含めて(IOCへの)働きかけができないか」とオールジャパン体制での巻き返しに望みを託す。

 

 今回の決定を「理不尽な部分もある」と受け止めたのは、1988年ソウル五輪の金メダリストでもある佐藤満男子強化委員長(51)。一方で佐藤氏は個人的見解として、国際レスリング連盟(FILA)の問題点を挙げる。

 

 佐藤氏によると、FILAの勢力図は「東欧であり、旧ソ連、中東・イスラム圏。あとはアジアがちょこちょこ。米国も力を持っていない」。この現状で、西欧を中心とするIOC委員とのつながりが弱いという。

 

 IOC理事会15人のメンバーのうち、実に8人が中西欧出身。東欧は1人しかいない。今回生き残った近代五種の国際連合副会長を務めるサマランチ・ジュニア氏も理事に名を連ねる。多様な力学が働く国際スポーツ政治の中心から、レスリングは外れているのか。

 

 FILAは、2020年五輪の中核競技からレスリングが外されたことに対し、IOCの決定を「異常」と非難し「必要な全ての措置をとる」との声明を公式サイトに掲載。16、17日にプーケットで行う理事会で、5月のIOC理事会に向けた対応を検討する。FILAはレスリングが古代、近代五輪の「創始競技」であり、180か国で行われていると主張した。

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