レスリングの全日本選抜選手権2日目(15日、東京・駒沢体育館)、男子フリー79キロ級で“タックル王子”こと高谷惣亮(29=ALSOK)がダウン寸前の状態から劇的な復活を遂げ、世界選手権(10月、ブダペスト)代表に決定した。

「これはヤバイかもしれない」。高谷が自分の体の異変に気づいたのは準決勝後。手足の震えが止まらず、異常に気持ちが悪い。信頼するトレーナーに相談した上で、胃の中のものをすべて吐いた。「脱水症状。減量の失敗ですね。前日に水分を一気に落とすやり方を今の当日計量でもやったら、胃が食べ物を受けつけなかった。15年レスリングをやって、試合で吐いたのは初めてです」

 なんとか体調を戻し迎えた決勝はラスト6秒で逆転し、昨年末の全日本選手権との2連勝で世界代表に。世界選手権後には五輪階級の86キロ級に上げることを決めており「まずは世界選手権で、79キロ級でメダルが欲しい」と意欲を燃やした。

 平昌五輪スピードスケート女子500メートル金メダルの小平奈緒(32=相沢病院)が取り入れる1本歯げたを2月から導入し、バランス感覚や体幹を鍛えるなど新しい練習方法も貪欲に取り入れる。東京五輪へフル回転だ。