男子テニスで世界ランキング9位の錦織圭(27=日清食品)が16日、4大大会最終戦の「全米オープン」を含む今季の残り全ての試合を欠場すると発表した。右手首の腱を断裂したことが理由。2014年9月8日以降守ってきたトップ10の座から陥落するどころか、一気に20位前後にまで下がる可能性もある。世界に誇る日本の宝が大ピンチだ。

 今季左臀部などケガに苦しんできた錦織だが、右手首の負傷も悩みのタネだった。マネジメント会社によると、現在開催中のウエスタン・アンド・サザン・オープンに出場するため、訪れていたシンシナティでの練習中にサーブを打った際、本人が手首からはじけるような音を聞いたという。すぐに病院へ向かい磁気共鳴画像装置(MRI)で検査。その後も複数の専門家に診てもらい、今季は残りの試合をすべて欠場する結論に至った。

 手術の予定はないというが、2014年に準優勝したハードコートの「全米オープン」を前に痛すぎる負傷。ケガの回復具合によっては、来季の成績にも影響してきそうだ。試合を欠場することでポイントの加算がなくなり、現在の9位から世界ランキングが大きく下落することは確実。今季はツアー優勝もなく、トップ10どころか、一気に20位前後にまで下がる可能性がある。シードのうまみがなくなることで、悲願の4大大会制覇もまた一歩遠のいた。

 さらに深刻な影響が出てきそうなのが楽天ジャパン・オープン(10月2日開幕、東京有明テニスの森公園)だ。同大会は毎年、錦織の“凱旋試合”となってきた。しかも今年は約4か月前の6月9日に錦織の出場を発表。チケットもそれに合わせて先行発売されたが、まさかの主役不在では盛り上がりの面で大きく響いてくる。

 苦境に立たされたエースのメンタル面も心配だ。故障のショックに加え、コート外でも騒がれている。交際中のモデル観月あこ(25)が現在発売中の「週刊新潮」の取材に、「結婚はしたい、彼に任せている」とコメント。2人の交際に周囲は反対しているといわれるだけに、観月の発言は衝撃的だった。

 そんな中での錦織の大ケガ…。ネット上では観月に対して「さげまん」などとバッシングの嵐で、錦織にとっても心穏やかではないだろう。

 テニス界では元世界ランク1位で4大大会12勝のノバク・ジョコビッチ(30=セルビア)が右ヒジの治療で、昨年全米オープン覇者のスタン・バブリンカ(32=スイス)はヒザのケガで、ともに今季残り試合の欠場を表明。故障者続出の中で、錦織までもが離脱した。09年には右ヒジを手術し約1年間ツアーから離れながら、這い上がってきた錦織。再び襲ってきた試練を、どう乗り越えるか。