男子テニスの国別対抗戦デビスカップの岩渕聡監督(41)が25日、都内で就任会見を開いた。

 アトランタ、シドニー五輪代表の岩渕氏は9月のブラジルとのワールドグループプレーオフから指揮を執る。順当にいけば、東京五輪の監督も浮上するが、岩渕氏は「余裕は全くない」と気を引き締め、ベスト4入りを目標に掲げた。

 実際、3年後どころか、目先の試合も不安だらけだ。世界ランキング7位のエース錦織圭(27=日清食品)は2月のフランス戦を欠場。ツアー優先の姿勢を示し、今後も招集に応じるか微妙なところだ。しかも2番手の西岡良仁(21=ミキハウス)は4日に左ヒザ手術を受けたばかり。日本は主力を欠いてブラジル戦に臨むことも覚悟しなければならない。

 その一方、岩渕氏は「監督らしくない監督」と話すように、選手との距離が近いのが武器だ。2008年4月のデ杯アジア・オセアニアゾーンのインド戦では、デ杯デビュー戦だった錦織と日の丸を背負って戦った。当時の秘話をこう明かす。

「(錦織は)すごく緊張していました。試合の前の日にご飯がほとんどノドを通らない彼を見て、チームですごい心配した覚えがあります。あれ以上緊張したことはもしかしたらデ杯ではないくらい緊張していたので…。錦織にこういうことを聞くと、だいたい覚えてないですけど、ボクたちにとってはすごい印象深いことでした」

 今では笑い話だが、それだけ錦織とも打ち解けた関係にある。日本オリンピック委員会のスポーツ指導者海外研修事業で来年2月まで米国に滞在しているため、逆に連絡を取りやすいという利点もあり、岩渕氏の手腕に期待がかかる。