ゴルフ界のキング、アーノルド・パーマー氏(米国)が25日、ペンシルベニア州ピッツバーグの病院で死去した。マネジメント会社が発表した。87歳だった。AP通信によると、死因は心臓疾患による合併症という。

 1954年の「全米アマ」を制し、翌年プロデビュー。58年の「マスターズ」などメジャー7勝、米ツアーでは歴代5位の62勝を挙げた。だが選手として残した数字は功績の一部でしかない。ライバルとしてしのぎを削ったジャック・ニクラウス氏(76=同)は「彼はゴルファーの枠を超えていた。ゴルフだけでなく、スポーツ界のパイオニアであり象徴だ」。

 米国でスポーツのテレビ中継が本格化すると同時期にツアーに登場したパーマー氏は、攻撃的なプレースタイルやサービス精神旺盛なキャラクターで爆発的な人気を獲得。ゴルフを一躍、人気スポーツに押し上げ、大学の同級生だった弁護士のマーク・マコーマック氏(故人)とマネジメント契約を結び、ビジネスでも成功を収めた。

 これがゴルフの松山英樹(24=LEXUS)、テニスの錦織圭(26=日清食品)、フィギュアスケートの浅田真央(26=中京大)らが契約を結ぶ大手マネジメント会社IMGの始まり。現在のアスリートが競技に専念しながら、その人気や知名度に見合った報酬を得られるのも、パーマー氏の存在があってこそだ。

 訃報と時を同じくして今季米ツアーの年間王者として10億円ボーナスを手にしたローリー・マキロイ(27=英国)も「彼がいなければ、こんな額は出ないだろう」と敬意を表した。日本ゴルフツアー機構の青木功会長(74)は「兄のように慕っていたし、あこがれの存在だった」。惜しまれつつもこの世を去ったゴルフ界の巨星は永遠に輝き続けるはずだ。