【全豪OP】錦織不快感…八百長テニスの闇

2016年01月19日 16時00分

【オーストラリア・メルボルン18日発】テニスの八百長問題が波紋を広げている。英BBC放送(電子版)などが17日、テニスのトップクラスの国際大会で八百長が横行していると報道。18日に開幕した全豪オープンで1回戦を突破した世界ランキング7位・錦織圭(26=日清食品)は寝耳に水の反応を示したが、同1位ノバク・ジョコビッチ(28=セルビア)は過去に八百長を持ちかけられたことを認めて騒ぎが拡大。高額賞金で知られる「紳士のスポーツ」の背後にある“闇”が浮かび上がった。

 報道によれば、ウィンブルドン選手権を含むトップクラスの試合で八百長が横行。世界ランク50位に入ったことのある選手16人が過去10年間に意図的な敗退行為をした疑いがあり、4大大会優勝者も含まれている。男子ツアーを統括するATPは十分な調査を怠り、全豪オープンにも“疑惑選手”が8人も参加しているというから衝撃的だ。

 ATPのクリス・カーモード会長は八百長について「継続的に注視している」とし、調査を怠ったとの疑惑を否定した。しかし、元幹部は米ニュースサイトの取材に「試合結果の操作は以前から日常的に行われていた」と話すなど、事態は収束の兆しを見せない。

 錦織は「全く関与もしていないし、やろうと思うこと自体が全く理解できない」と不快感をあらわにしたが、ジョコビッチは八百長を持ちかけられたことを認めた。関与は否定したものの、2007年のツアー大会で金銭の代わりに1回戦で敗退することを間接的に求められたという。

 事実とすれば、海外で幅広くブックメーカー(賭け屋)の対象になっているテニスの根幹を揺るがす事態だ。いったい、真相はどうなっているのか。テニス業界に詳しい関係者は本紙の取材に「ちょっとびっくり。実名を出さないのが、よく分からない。ベッキーじゃないけど、第2弾、3弾(の報道)があるのか」と懐疑的な見方を示しつつ、背後にある“闇市場”の影響を指摘した。

「今、マーケットとしてはすごいデカくなっちゃってる。ネットを開けば簡単にベット(賭け)サイトにたどりつく。相当、闇組織でやっている」。テニスや野球を対象にしたスポーツベッティングの闇市場の規模は米国だけで40兆円と言われ、一つの巨大産業になっている。八百長がビジネスの一環となっても全く不思議ではないという。不正を働く選手に胴元が出す金は5万ドル(約585万円)が下限とされるが、もちろん痛くもかゆくもない。

 報道では、ロシアやイタリア北部などに本拠を置く組織が関わっているとされており、闇市場はますます拡大し“触手”は日本にも及んでいる。違法な賭博行為は「現場でテニスを見ながらパソコンを叩いている人は監視の対象になる」と締め付けは強化されていたが、昨年の楽天ジャパン・オープンでは“取り逃がし事件”も発生。「逃げ足の速いヤツが有明コロシアムから逃げていったと報告されている」(同)。このようにして世界中から集まった莫大な金が、心ない一部選手の懐を潤しているというわけだ。

 このところ、スポーツ界は不祥事続き。国際サッカー連盟(FIFA)の汚職問題、ロシア陸連のドーピング問題と世間に衝撃を与えてきた。テニスはATPツアー・ファイナルのシングルスの優勝者に総額192万ドル(約2億2500万円)の賞金が贈られるなどスポーツ界の中でも華々しさが目立つ。しかし、その裏に深い闇があるとすれば、あまりに残念だ。

 最大の被害者は不正とは関係のない選手。初対戦の同34位フィリップ・コールシュライバー(32=ドイツ)を6―4、6―3、6―3のストレートで破り、復調をアピールした錦織は同103位オースティン・クライチェク(25=米国)との2回戦に進んだが、思わぬ形で水を差された。

関連タグ: