男子テニスの楽天ジャパン・オープン(東京・有明テニスの森公園)で2連覇を逃した世界ランキング6位の錦織圭(25=日清食品)に深刻な“後遺症”が懸念されている。


 10日のシングルス準決勝で同32位ブノワ・ペア(26=フランス)に6―1、4―6、2―6の逆転負け。今夏の全米オープン初戦で敗れた相手にまたも不覚を取った。第1セットは本紙既報の“トルネードフォア”が絶好調で、わずか21分でセットを奪取。ところが2セット目以降、変幻自在のペアに翻弄された。


 錦織は「全米と作戦を変えてプレーした」と話したが、内容は全米のVTRそのもの。いつもなら目を引くはずの粘り腰も鳴りを潜め、時間とともに体力も消耗…。札止めの観衆の期待に応えることができなかった。


 次戦は11日開幕の上海マスターズ。「テニス自体は良くなっている」と強気に語ったが、ペアとは常に再戦の可能性があり、不安はぬぐえない。


 どうすればペアに勝てるのか。今大会の初代優勝者(1972年)でもある“レジェンド”坂井利郎氏(67)は①バックハンドのダウン・ザ・ライン(DTL)の活用、②リスクを負ったプレー、③苦手意識の克服の3点を挙げて、錦織に緊急エールを送った。


 バックのDTLは錦織の武器だが、この日はほとんど見られず。坂井氏は「第1セットにフォア、フォアで展開が取れたから(フォアで)一気にいこうとしたのかもしれない」と改善の余地を指摘した。また、②についても「ドロップショットをやったり、苦しい試合を覚悟しながらもっと大胆にいく必要がある」と説明した。しかし、③については「難問ですね…」としばし声を失った。


 連敗でペアに対する苦手意識はより鮮明に。錦織に与えた精神的ダメージは大きく、トラウマになる可能性もある。果たして、錦織はこの悪夢をどう乗り越えるのか。