日本テニス協会が過熱一途の錦織フィーバーの裏で“圭ルート”を死守する。

 楽天ジャパン・オープンは東京・有明テニスの森公園で5日に開幕。連覇を目指す世界ランキング6位・錦織圭(25=日清食品)は全米オープン初戦敗退も人気は高まるばかりで、4日に有明コロシアムのセンターコートで行われた公開練習には有料にもかかわらず、約1万人の大観衆が集結した。同4位スタン・バブリンカ(30=スイス)と打ち合った後も「少しびっくりした」と驚きを隠せなかった。

 そんな中、ちょっとしたパニックになったのが錦織の会見だった。会見場の外の通路にはたまたま居合わせたファンがおり、その真横を通って錦織が会見場に入ったため大歓声が上がった。

 通常、選手が会見場に入る際にはファンの目に触れないルートが使われる。しかし、錦織はあえてそこを使わず、“圭ルート”と呼ばれる別ルートで会見場に入ることがある。もともとは2006年に初来日し、優勝したロジャー・フェデラー(34=スイス)のために考案されたルート。階段の傾斜が緩い、控室との距離が近いなどの利点がある動線だ。

 ファンと接近してしまうことが課題だが、日本協会は異様な熱気を見せる今大会でも“圭ルート”は閉鎖しない方針を示した。ファンの前に姿を見せることを、錦織自身もマイナスとは思っていないのが理由だ。

「今日もニヤニヤして(会見場に)入ってきたでしょ。嫌いじゃないんだよ」(関係者)。もちろん、安全面には万全を期し、この日も錦織の前後にそれぞれ2人が“護衛”についた。1回戦では同38位ボルナ・チョリッチ(18=クロアチア)と対戦するが、心置きなく連覇に向けた試合に集中できそうだ。