【ニューヨーク州ニューヨーク1日(日本時間2日)発】男子テニスの世界ランキング4位・錦織圭(25=日清食品)の全米オープン初戦敗退がニューヨークにも衝撃を与えた。試合から一夜明け、現地の各紙は同41位ブノワ・ペア(26=フランス)にフルセットの末に屈した前年準優勝者をセンセーショナルに報道。地元メディアにとっても“想定外”の結果だった。

 日本人として初めて第4シードに入り、優勝候補の一人にも挙げられていた錦織の初戦敗退を、1日のニューヨーク各紙も一斉に報じた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「昨年のファイナリストで第4シードの錦織は2度のマッチポイントを逃し、勝利も手放した。初日で大会を去るには時期尚早の選手たちの仲間入りをした」とまとめ、試合中に厳しい表情で、氷を包んだタオルで頭を冷やす様子を写真付きで紹介した。

 初日は他にも男子シングルスで錦織と第16シードのガエル・モンフィス(29=フランス)が敗れ、女子シングルスでは第7シードのアナ・イバノビッチ(27=セルビア)を筆頭にシード選手が次々に姿を消した。そんな「波乱の日」の中でも一番の驚きはやはり昨年準優勝者の敗退だった。

 一方、ニューヨーク・ポスト紙は見出しで「錦織にとって興奮は音を立てて崩れた」と1年前の快挙からの“急落”を表現。「全米オープン決勝に向け、再び魔法のような快進撃は起こらなかった」と魔法の不発を敗因に挙げた。また、ニューヨーク近郊ロングアイランドの地元紙ニューズデー紙は「変化は容赦ないということを我々に思い出させる」と大きな写真とともに報じた。

 結果を信じられないのは日本の関係者も同じだ。日本テニス協会の植田実強化本部長(58)は「圭より相手のほうがリスクを負っていた」とペアをたたえる一方で、錦織の“異変”を指摘。「タイブレークの6―4の時のフォアハンド、いつもならあんなに際どいところは狙わない。アイツにしては珍しい。彼は大事な時ほど真ん中だったり、際どいところは狙わないですから。なんらかのメンタル的なことがスイングに影響した」と話した。

 次戦は国別対抗戦・デ杯ワールドグループ入れ替え戦(18~20日、コロンビア)となるが、アップセットの衝撃が収まるにはもう少し時間がかかりそうだ。