【ウィンブルドン】解説者・佐藤氏“錦織の負傷は吉”

2015年06月29日 16時00分

 テニスのウィンブルドン選手権(英国)が29日に開幕。4大大会初制覇を狙う世界ランキング5位の錦織圭(25=日清食品)は左ふくらはぎを負傷したが「全米の時より少しいい」と話すなど、負傷後に準優勝を飾った昨年の全米オープンの再現に自信を示した。ウィンブルドンの展望を占ったGAORAテニス中継解説者の佐藤武文氏(44)の結論も“負傷は吉”――。錦織が奇跡の快進撃を見せるのか。

 

 錦織選手は前哨戦のゲリー・ウェバー・オープンで左足をケガしちゃったんですけど、出場を決めました。「やっぱりダメだった…」というより、ウィンブルドンで戦うために途中で棄権したんです。

 

 昨年の全米オープンも体の状態的には良くなかったです。右足の親指を手術して直前の大会を欠場。調子が悪かったらキャンセルもありうるという状況で、試合をスタートさせている。「二度あることは三度ある」じゃないですけど、今回のウィンブルドンも期待が膨らみますね。負傷を考慮しても、ベスト8からベスト4まではいけると考えています。

 

 その理由はケガをしているからこそ、活動限界のバロメーターがより具体化するからです。決して無理することなく、効率のいい戦い方ができる。自分のプレーのレベルを上げたり、下げたりできる。全米オープンの時も、体力と相談しながらプレーできていた。ベテランがなぜ強いかというと、自分の体力を分かってその範囲内でプレーしようとするからです。それと同じですね。

 

 前半省エネして、2週目のビッグシードと当たる時、いいテニスができればいい。ゲリー・ウェバー・オープン決勝で、(ロジャー)フェデラーはドロップショットをされても届かないボールは最後まで追いかけないんですよ。全部を拾うのではなく、時にはムダに走らないことも必要になってくると思います。

 

 芝も彼のスタイルにフィットしています。芝はボールが滑って、どうバウンドするか分からない。錦織選手は予測力にたけています。どっちに打ってくるか分からないフォームも相手にとって、ものすごくやっかい。また、ドロップショットをしたらボールはほとんど弾まないので、そういうテクニックも生きてきます。

 

 コートも最初は青々としていますが、試合が進むにつれて芝の部分がはげてくる。最後のほうはクレー(赤土)コートのようになります。選手はよりイレギュラーバウンドに対応しないといけない。後半になればなるほど錦織選手はいろんな技術が使えるでしょう。

 

 弱点はボールが滑るので、低い打点で打たされるということですね。錦織選手はフォアを打つ時、ラケットの面が下を向きやすいグリップなので、高い打点のほうが打ちやすいんです。だけど、ボールが滑ってくるので、タイミングが合わない。前の試合ではうまくいっていなかったですね。

 

 優勝を争う強敵はやはり、(ノバク)ジョコビッチとフェデラーでしょう。ただ、突破口がないわけではありません。ジョコビッチは芝で粘ろうと思えば、本当に粘る。長いラリーをしていたら勝てない。ネットプレーをより多く出せれば、チャンスの糸口が出てきます。それを連続でできるか。一方、フェデラーはネットプレーがうまい。イヤなタイミングで出てくる。でも、ストローク戦なら勝機があります。

 

 グランドスラムは試合が中1日ですし、前向きにとらえていいでしょう。ラウンドが進むにつれて、勝負できるようになっていくと思います。