錦織「メンフィス・オープン」苦戦の意外な原因

2015年02月18日 07時45分

 苦闘のワケは――。15日(日本時間16日)に行われた男子テニスのメンフィス・オープン決勝で、世界ランキング5位の錦織圭(25=日清食品)が同15位ケビン・アンダーソン(28=南アフリカ)を下して今季初優勝、自身ツアー初の同一大会3連覇を達成した。とはいえ、今大会は格下相手に苦戦の連続という意外な展開。「GAORA」テニス中継解説者の佐藤武文氏(43)はその裏にある意外な事情を明かした上で、次の4大大会・全仏オープン(5月24日開幕)での快進撃に太鼓判を押した。

 

 1月の全豪オープン8強の錦織にとって、メンフィス・オープンV3への道のりは予想以上に険しかった。初戦の2回戦からランク下位の選手に3試合連続フルセットの末の逆転勝利。決勝こそストレート勝ちを収めたものの、最後まで気の抜けない大会となった。

 

 苦戦の原因は錦織自身が明かしているように、高速サーフェスへの適応だった。風の影響を受けない室内大会、かつスピードが出やすいハードコートという条件。錦織はラケットのストリングス(網目の部分)の調整に手間取り、リズムをつかめなかった。しかし、佐藤氏は今回の苦戦には別の理由があったという。「メンフィスは通常より軽めのボールなんです。全米オープンで使用されている女子のボールを使っているという話です。アメリカのビッグサーバーに勝たせたい意図がミエミエなんですよ」

 

 軽量ボールとなれば、アンダーソンのような高速サーバーの攻撃力はさらに増す。錦織は4試合で57本のエースを決められた。優勝インタビューで「ここはホームのよう」と声援を送ってくれた観客に感謝の気持ちを表したが、実際は完全アウェーの環境で戦っていたのだ。

 

 同じ悩みは昨年の大会でも抱えていたという。ちょうど1年前、佐藤氏は錦織の関係者から「最後までボールに合わなかった」と聞かされていた。頂点を2度も制したのに、会心の笑みを浮かべられないもどかしさ。3連覇は心に残っていたモヤモヤを払拭する戦いでもあった。佐藤氏は「ボールとか関係ないんだなと。彼のすごさが際立ちました」と舌を巻いた。

 

 4大大会初Vを目指す全仏オープンはクレーコート(土)で行われる。今回とは真逆で、ボールは土を含み重くなる。それでも“魔球”を克服した経験は必ず生きるはずだ。「重いボールだとしても彼は持ち味を発揮すると思いますし、オールラウンドになってきたと思います」(佐藤氏)

 

 錦織はただでさえ「クレーは得意」と公言し、自信を深めている。数字以上の価値がある「メンフィス3連覇」が追い風となることは間違いなく、全仏への期待は膨らんでいる。