【東京パラリンピック】車いすテニス・国枝慎吾が涙と貫禄の金!「夢の中にいる気持ち」

2021年09月04日 22時30分

涙の優勝となった国枝(ロイター)

 これがエースのプライドだ。東京パラリンピック・車いすテニス(4日、有明テニスの森)、男子シングルス決勝が行われ、国枝慎吾(37=ユニクロ)がトム・エフベリンク(オランダ)を6―1、6―2で下して金メダルを獲得。08年北京大会、12年ロンドン大会に続く3度目のパラリンピック制覇を果たした。

 レジェンドが最高の輝きを放った。第1セットはファーストゲームをブレークされたが、そこから一気に6ゲームを連取する怒涛の攻め。ビッグサーブの相手に対し、絶妙な駆け引きと世界一のチェアワークで圧倒した。

 第2セットに入っても熟練の技は光った。角度のあるショットやネットを取って相手を翻弄。5―2で迎えた第8ゲームでチャンピオンシップポイントを握ると、最後もラリーを支配して試合を決めた。勝利の瞬間、こみ上げる涙を抑えることができなかった。陣営と喜びを分かち合い、日の丸を顔に覆って泣いた。

 試合後、国枝は「まだ夢の中にいるような気持ちですが、この日のために全てを費やしてきたので報われた良かったです」と第一声。リオ五輪(銅メダル)で金メダルを逃した時を振り返り「引退を何度も考えました。まさか、また世界一に復帰し、こうして東京で金メダルを取れるなんて信じられないです」と胸の内を明かした。

 2007年に車いすテニス界史上初となる年間グランドスラムを達成するなど、長年車いすテニス界をけん引。かつて日本人記者が4大大会20度優勝のロジャー・フェデラー(スイス)に「なぜ日本のテニス界からは世界的な選手が出ないのか」と質問した際に「何を言うんだ君は? 日本には国枝がいるじゃないか」と切り返したのは有名な話だ。

 今大会は日本選手団の主将を務めた。「自分自身のパフォーマンスに集中することが、日本にいい流れを持ってこれると思うので、言葉よりプレーで勢いづかせたい」。背中でチームを引っ張ることを決意。ダブルスでは3位決定戦で敗れたが、シングルスでは見事に2大会ぶりの栄冠を手にして責務を果たした。

 強気な姿勢も健在だった。ラケットには「俺は最強だ」と書かれたテープが貼られており、大会前には「自分自身に1日10回くらい言い聞かせたい」と話していた。車いすテニス男子代表の三木拓也(トヨタ自動車)が「たぶん自分に言い聞かせている。自分を奮い立たせているのかなというふうに思う」と明かすように、国枝でも弱気になることはある。そんなときはラケットを見つめ、気持ちを奮い立たせた。試合後は「今日も何度もロッカーで言い聞かせた」と話し、最後にガッツポーズする自分の姿をイメージしていたという。

 自国開催の大一番。「重圧は3倍」と吐露したこともあるが、全てに打ち勝ってつかんだ金メダル。世界に誇る日本の主将がまた1つ新たな勲章を手にした。

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