錦織 新ラケットで初戦快勝

2015年01月08日 16時00分

【オーストラリア・ブリスベン7日発】男子テニス世界ランキング5位の錦織圭(25=日清食品)が快勝発進だ。ツアー開幕戦のブリスベン国際でシングルス初戦の2回戦に登場し、同37位のスティーブ・ジョンソン(25=米国)を6―4、7―5のストレートで撃破。一部で不安視された新型ラケットとの相性もぴったりで、大目標となる4大大会初制覇に力強く前進した。錦織は準々決勝で同53位のバーナード・トミック(22=オーストラリア)と対戦する。

 

 錦織が難なく第一関門を突破した。「全部がうまくいくとは思っていない」と話していた注目の初戦。終わってみれば緊張感と重圧をハネ返し、格下の相手をストレートで退けた。

 

 今大会からウイルソンの新ラケットを使用。従来よりボールが弾むようになり、サーブのスピードは最大15%増すようになった。この効果はてきめんだった。球足の速いハードコートも味方して、サーブは時速200キロに迫るなど大幅に強化された。錦織は「サーブが一番進歩しているのを感じた。以前とは少し違った感覚」と笑顔を見せた。

 

 一方で、周囲の不安もかき消してみせた。新ラケットにはデメリットもあった。日本テニス協会関係者は「ラケットは感覚」と前置きし、次のように指摘していた。

 

「ボールを打つ動作は相手の力を利用する。止まっているボールを打つより、飛んできたボールを打つほうが速い。新しいラケットはスピードが速くなる分、速い返球が来る。繊細な感覚に慣れないと、錦織がガタガタ崩れる可能性がある」

 

 通常、選手は試合場に同じラケットを何本も持ち込む。しかし、一本一本で、ストリング(網の部分)の張りや強さがわずかに異なり、天候や温度によって試合中に替えることも多い。プレーにはさらに神経をとがらせる。ボールのスピードが速くなればその分、相手の反撃も短縮される。もはや「コンマ何秒」(同関係者)という世界だが、錦織のリターンやストロークに微妙な狂いを生じさせる可能性があった。

 

 しかし、錦織は米国での1か月のオフの間に新ラケットと見事に順応した。グリップを改良し、サービスエース7本を奪ったばかりか、ディフェンスも持ち前のスピードを生かし、ボールに吸いつくように正確に打ち返した。初戦でプレーへの影響を払拭してみせたわけだ。

 

 もちろん、まだ不慣れな面もあるだろう。ラケットを自分の手足のように使いこなすようになるには時間がかかる。前出関係者は「年初より年末のほうがラケットに慣れていると思う」。だが、裏を返せば攻守にわたって、一層の進化が望めるということ。まずは全豪オープン(19日開幕)で4大大会初制覇を狙う錦織だが、その後の3大会に向けても期待は膨らむ。夢へ向けて幸先のいいスタートを切った。