超快挙だ!錦織ツアー・ファイナル準決勝進出

2014年11月14日 10時33分

【英国・ロンドン13日(日本時間14日)発】男子テニスのATPツアー・ファイナル5日目(O2アリーナ)、世界ランキング5位の錦織圭(24=日清食品)が準決勝進出の快挙を成し遂げた。シングルス1次リーグB組最終戦、錦織は世界8位のミロシュ・ラオニッチ(23=カナダ)が負傷し、補欠の同10位ダビド・フェレール(32=スペイン)と対戦し、4―6、6―4、6―1の逆転勝利。通算2勝1敗でB組を2位で突破した。準決勝(15日)では同1位ノバク・ジョコビッチ(27=セルビア)との対戦が有力だ。

 錦織が新たな歴史を作った。フェレール戦で劇的な逆転勝利を収めた約4時間後、世界ランキング2位のロジャー・フェデラー(33=スイス)が同6位のアンディ・マリー(27=英国)を6―0、6―1で下し、錦織のB組2位が確定。準決勝進出が決定した。

 激動の1日だった。試合開始のわずか1時間半前、対戦予定のラオニッチが右太ももの肉離れで急きょ棄権。錦織の相手は補欠として待機していたフェレールに変更された。フェレールは規定で準決勝には進めないが、勝てば200ポイントと賞金15万5000ドル(約1798万円)は獲得できるとあって気迫がみなぎっていた。

 錦織は、フェレールに今季3戦全勝とカモにしているものの、いずれも接戦。この大会ですでに2試合戦っており、休養十分の相手とは体力的なハンディもあった。さらに高速サーブを誇るラオニッチからストローク戦が得意なフェレールに代わり、戦略の変更も余儀なくされた。心の整理ができないまま迎えた第1セット、錦織は第8ゲーム、第10ゲームをブレークされ、落としてしまった。

 しかし、この日はこれまで不振だったサーブが好調だった。第1サーブが決まった時の得点率は80%を超え、63%のフェレールを圧倒。第2セットを奪い返すと、最終セットは完全にゲームを支配した。「ここは(球足が)遅いコートなのでつないでるだけでは彼の好きなペースになってしまう」

 冷静に戦況を読み、自由自在に相手を翻弄した。あまりの錦織ペースにフェレールはラケットをコートに叩きつけてイラ立ちを爆発させる場面も。フルセットでの勝率は9割超えでATPナンバーワンを誇る“エアK”が真骨頂を発揮し、最終セットは1ゲームを落としただけの“横綱相撲”で大逆転劇を完結させた。

 錦織は「すごくうれしい。1セット目はすごくいいテニスをして取られて、2セット目で盛り返し、最後は完璧なプレーができてよかった」と満面の笑み。課題だったサーブも「特に練習したわけではないですけど、今日は体も使えてトスがいい位置にあった。2セット目からエースで乗り切れた」と復活を宣言した。

 初出場初優勝の金字塔まであと「2勝」と迫った。準決勝の相手は現在A組で2戦2勝、無敗での大会3連覇を狙う世界ランク1位のジョコビッチとなることが確実な状況だ。通算成績は2勝2敗の五分で、錦織にも勝つチャンスは大いにある。

 日本テニス協会の植田実強化本部長(57)は「USオープンの時なんて、ジョコビッチが錦織のショットを恐れているように感じますもんね。ジョコビッチがびびっているように見える。圭はそう見えた、感じたと思う。だから勝負かけて潰しにかかった」。9月の全米オープン準決勝での勝利が下地となり、セミファイナルでの快挙を後押しするという。

 さらに植田本部長は錦織がオーラの面でもジョコビッチに引けを取らないと断言する。「トップ選手が放つ光というのはグランドスラムで回を重ねるごとに(錦織に)備わっていた。一緒にコートで戦っているトップ選手は十分感じていた。フェデラーやジョコビッチにしたら『来たか』という思いだと思う。トップの人しか見えないもの、感じ得ないものを錦織圭に感じていた。それは間違いない」

 準決勝でジョコビッチを倒し、決勝では1次リーグで敗れたフェデラーにリベンジ!この日の錦織の勝ち方はそんな期待を抱かせるには十分だった。

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