【フランス・パリ31日(日本時間11月1日)発】錦織がアジア人初の快挙を達成した。男子テニスのマスターズ・パリ大会シングルス準々決勝、世界ランク7位で第6シードの錦織圭(24=日清食品)は世界ランク6位で第4シードのダビド・フェレール(32=スペイン)をフルセットの激闘の末、2―1で破りベスト4進出。同時に年間成績などによる上位8人だけが出場できるツアーファイナル(9~16日、英ロンドン)出場を決めた。ファイナル進出は、日本はもちろん、アジア人でも初。真の年間王者を決めるエリートの戦いでナンバーワンをめざす。

 もつれにもつれた最終セット第10ゲーム。40―0からの錦織のサーブをフェレールは返しきれず。この瞬間、2時間43分の勝負に決着がつくとともに、錦織のツアーファイナル進出が決まった。


 この日は、先に行われた準々決勝で、最終戦の出場権争いでランク9位のミロス・ラオニッチ(23=カナダ)が敗れれば、錦織の最終戦進出が決まる、という状況だったが、ラオニッチが2―0で勝ったため、ロンドン行きのチケットは自身の結果にかかっていた。


 立ち上がりは錦織ペース。第1セットは2ゲームを連取した。


 ところが第3ゲームのチャンスに2回、ネットのミスでポイントを失うと一気に形勢が逆転した。ここからツアーファイナル出場には今大会の決勝進出が条件のフェレールが5ゲーム連続で奪う猛反撃で、錦織は第1セットを落としてしまう。「サーブが良くなかったので苦労した」と振り返る錦織。その言葉通り、第2セットもいきなりサービスゲームを15―40でブレークされる。


 だが、このセットは4度のデュースのうち3つをモノにする粘りを見せてタイブレークに。ここも、0―4とされる絶体絶命の状況から、何とか7―5で取った。


 今季、最終セットまでもつれた試合での勝率は9割を超える錦織だが、今大会は3日連続。さらに現地時間午後10時前に始まった試合は、日付をまたぐ長丁場となり、さすがに疲れが見え始めた。ファイナルセットはお互いにサービスゲームをひとつずつ落として4―4。第9ゲームで初めて錦織がブレークして5―4とリードを奪った。

 そして最後のサービスゲームはポイントを許さず、未明にまで及ぶ激闘に終止符を打った。


「長い試合をしっかり勝てて、すごく満足しています」と話した錦織だが、1日(日本時間2日)の準決勝の相手は世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(27=セルビア)。さらにツアーファイナルは8人を2組に分け、総当りのリーグ戦を行い、上位2人ずつのトーナメントで優勝者を決める過酷な戦いが待つ。これを制してこその真の王者。ファイナル進出に満足して、立ち止まってはいられない。