テニスの楽天ジャパン・オープン4日目(2日、東京・有明テニスの森公園)、注目の錦織圭(24=日清食品)は右臀部に痛みを訴え、ダブルス準々決勝を棄権した。

 この日、シングルス2回戦で世界ランク57位のドナルド・ヤング(25=米国)を6―4、7―6で下した錦織は、内山靖崇(22=北日本物産)とのペアで2試合後のダブルス準々決勝に臨む予定だった。しかし、直前に「昨日の試合の直後から痛みが出ている。パートナーにも申し訳ないですし、自分も悔しいですけど、ダブルスはキャンセルします」と苦渋の決断を下した。

 心配なのは症状の深刻度。錦織は、これまで数々の故障に悩まされ、古傷の腰には爆弾を抱えている。ただ、日本テニス協会関係者は「深刻度10で言ったら2か1」と“軽症”との見方を示す。全米オープン準V後の凱旋イベント出演、先週のマレーシア・オープン優勝など多忙による疲労の蓄積もあるが、大事を取っての判断だという。

 今大会は錦織の凱旋試合。チケットは2日連続で完売し、この日も1万2191人の大観衆を集めた。5日のシングルス決勝を前に主役が不在となれば、興行的なダメージは計り知れない。もちろん、錦織もよく分かっている。

「本当に今週日曜日までプレーするんだったら、ここで(ダブルスを)やるのはタフだよね。だからすごく深刻じゃないけど、万難を排して。内山には申し訳ないけどダブルスは、やめさせてもらって。そういう意味合いですよ」(同関係者)

 3日の準々決勝は同34位で難敵のジェレミー・シャルディー(27=フランス)と対戦する。シングルスに万全を期した錦織の“決断”は主役としての自覚の表れとも言えそうだ。