復活のカギは低めのテンション!? 10月に行った右ヒジ手術からの復帰に向けてリハビリに励んでいる男子テニスの錦織圭(29=日清食品)。パワー系のラケットを使う錦織にとって常にヒジ故障のリスクを背負うものだが、関係者によると、再発防止に向けてラケットを“改良”しているという。

 錦織が使用するラケットはウイルソンの「ULTRA TOUR 95CV」。特徴は普通のラケットに比べてグリップが指1本分長く、重量も重めで特に上部に比重を置いているというものだ。 普通に考えてもヒジへの負担が強そうだが、ウイルソンの関係者は「このモデルはパワーが伝わりやすい分、体への負荷もかかりやすいのは確か。使いこなすには、自分もパワーがないといけない。そこはトレードオフ(長所と短所を考慮した上での決定)なんです」と明かす。

 とすれば再発の危険と隣り合わせとなるが、何か策はあるのか。「ストリングス(ガット=弦)の性能やテンション(張りの強度)によってだいぶ変わります。彼は柔らかいストリングスではないが、比較的テンションを下げている。張りを弱めるとボールが飛ぶし、負担も軽減されます」(同関係者)

 テニス選手としては小柄な錦織が、世界で戦うためにパワーラケットの使用は譲れない。その分、ヒジに負担をかけずに力を最大限に発揮できるテンションを見極めているというわけだ。

 4日に都内で開かれた、使用ラケットのデザイン募集発表会で錦織はリハビリの状況を説明。現在スポンジのボールを打ち始めており、順調に回復しているというが、復帰時期については「来年1月のどこか。2月になるかも。様子を見ながら」と4大大会の全豪オープン(来年1月20日開幕)の出場については慎重な姿勢を見せた。

 目標に掲げる東京五輪を含めた来季は“低テンション”で完全復活した姿を見せられるか。