【オハイオ州シンシナティ15日(日本時間16日)発】テニスのウエスタン&サザン・オープン女子シングルス3回戦で世界ランキング1位の大坂なおみ(21=日清食品)は世界30位の謝淑薇(33=台湾)に7―6(7―3)、5―7、6―2のフルセットで勝利し、2時間29分で2週連続の8強入りを決めた。苦戦しながらも粘り強さを発揮し、1月の全豪オープン以来の優勝はもちろん、2連覇を目指す全米オープン(26日開幕、ニューヨーク)に向けて視界良好だ。

 女王は苦しみながらも8強入りを決めた。過去3勝1敗。しかも3試合でフルセットにもつれ込む接戦を演じている謝に第1セットからショットを左右に打ち分けられると第1ゲームでいきなりブレークを許し、大苦戦。第10ゲームではサービング・フォー・セットのピンチも迎えた。

 大坂が試合前に「彼女のプレーは予測できない。強打で来るのか。ドロップショットなのかわからない」と話していた難敵だ。それでも今大会前、世界1位に返り咲いた大坂が女王の意地を見せ、ブレークバックに成功。突入したタイブレークを制した。続く第2セットは謝に先行される展開から5―7で失ったが、大坂は崩れなかった。最終第3セットは第2ゲームから5連続で奪取。最大の武器である強力なサーブとパワフルなショットでポイントを重ねて6―2で制し、準々決勝進出を決めた。

 特に目立つのは粘り強さだ。実際に、この日の大坂は16本握られたブレークポイントのうち、12本をしのいでいる。また初戦となった2回戦もフルセットの末につかんだ白星だったように、今大会の大坂は逆境に立たされても、しのげるようになった。

 今季の大坂は1月の全豪オープンで4大大会連覇を果たしたもの、その後は早期敗退が続き、ベスト4に進んだのは、4月のポルシェ・グランプリ(ドイツ)だけ。特に全豪オープン後はサーシャ・バインコーチと決別し、新たにジャーメイン・ジェンキンスコーチに師事したことも低迷の原因とも言われる。

 それでも新コーチの指導で苦手だったダッシュ&ボレーなどのネットプレーの技術力を高めるとともに弱かったメンタル面も修正を図った。7月のウィンブルドン選手権に1回戦で敗退したあと、少しの休養を挟んで臨んだ前週のロジャーズ・カップ(カナダ)では、元女王セリーナ・ウィリアムズ(37=米国)に敗れてベスト8止まりだったが、その内容は大幅に改善されていた。

 今大会も苦戦はしながらも「あんまり自分に厳しくする結果でもないかな」と話し、復調に手応えを感じている様子。準々決勝では、世界7位のエリナ・スビトリナ(24=ウクライナ)と同20位のソフィア・ケニン(20=米国)の勝者と対戦するが、今大会で約7か月ぶりとなる優勝をすれば、自力で世界ランキング1位をキープでき、世界女王のまま全米オープンを戦うことができる。

 今大会と、2連覇のかかる4大大会の今季最終戦に向けて大坂は「ランキングのことは考えないようにしている」とし、まずは目の前の試合に集中する。