【ウィンブルドン】錦織4強の壁 ビッグ3になぜ勝てない?永遠のテーマ

2019年07月11日 16時30分

ラケットを手放してもボールに食らいついた錦織の執念は見えたが…(ロイター)

【英ロンドン10日(日本時間11日)発】またもや“ビッグ3”の壁に阻まれた。テニスのウィンブルドン選手権男子シングルス準々決勝で、悲願の初Vを狙う世界ランキング7位の錦織圭(29=日清食品)が、史上最強の“芝王者”ロジャー・フェデラー(37=スイス)に6―4、1―6、4―6、4―6でごう沈した。これで今年の4大大会は全豪オープン、全仏オープンに続いてベスト8で敗退。その壁となって立ちふさがる3人の男と一体、どこに差があるのか? そのテーマを検証する。

 終わってみれば力の差は歴然だった。4回戦までの試合時間は計8時間31分。同じくベスト8で敗退した全豪オープン(13時間47分)、全仏オープン(13時間22分)より格段に“省エネ”で準々決勝に臨んだものの、4大大会20Vの王者の壁に屈した。

 第1セットはいきなりブレークする最高の出だし。徹底してバックハンドを打たせる戦術がハマり王者のミスを誘った。1ブレークアップの5―4で迎えたサービングフォーザセット(SFS)の第10ゲームを奪うと、何度もガッツポーズ。大事なファーストセットを制した。だが、ここから王者の逆襲に遭った。第2セットからスライスを多用し始めたフェデラーに翻弄され、ネットプレーに出ても絶妙なパッシングウイナーを決められる。わずか22分、1―6と一方的な流れでセットを落とすと、立て続けに第3セットも4―6で落としてしまった。

 崖っ縁に立たされた錦織は第4セットでもサービスキープが精一杯。積極的なネットプレーを出せず、4―4の第9ゲームでブレークされて4―5となると、第10ゲームの最後はサービスエースを食らってジ・エンド。終盤になるほど勢いを加速させた王者の軍門に下り、ウィンブルドン100勝目というオマケまで献上してしまった。

 この敗因はどこにあるか? GAORAテニス中継解説者の佐藤武文氏(47)は「第3、4セットでフェデラーは得意のネットプレーをあまり出さなかった。だからこそ錦織選手が積極的にネットに出なければいけなかったが、序盤にパッシングショットを決められた強烈な印象が、その意欲をそいでしまった」と分析する。それを踏まえた上で王者との決定的な「差」をこう指摘する。

「テニスって総合ポイントよりもいかに要所でポイントを取るか?が大事。フェデラーはここぞという肝心な場面でファーストサーブが決まり、第1セットを落とした後からスライスを使うなど勝負の駆け引きが光った。錦織選手は引き出しの多さは誰もが認めるところ。でも、多さではなく、出しどころが大切なんです」

 全豪オープンではノバク・ジョコビッチ(32=セルビア)、全仏オープンではラファエル・ナダル(33=スペイン)に同じく「8強」で敗れた。錦織が日本人悲願の4大大会を制覇するには、この「ビッグ3」の壁を乗り越えなければならない。「私はアンディ・マレー(32=英国)を含めた“ビッグ4”と呼んでいますが、錦織選手がニュービッグ4に入るためには、今の技術をベースに、その組み合わせを研ぎ澄ませる必要がある。考え方、脳を変えるんです」(佐藤氏)

 錦織はビッグ3より若い20代だが、30歳前にそろそろ大きくスタイルを変える時が来ている。思えばフェデラーも30代に入ったころ、サーブアンドボレーの担い手のステファン・エドバーグ(スウェーデン)をコーチにつけてネットプレーを復活させた。毎度はね返される「壁」を乗り越えるヒントは、この日の敗戦に詰まっているようだ。