【ウィンブルドン】錦織 初戦を“時短”クリアも気になる視線

2019年07月03日 16時30分

まずは“時短”に成功した錦織(ロイター)

【英ロンドン2日発】まずは第1関門突破だ。テニスのウィンブルドン選手権男子シングルス1回戦で、世界ランキング7位で第8シードの錦織圭(29=日清食品)が同113位のチアゴ・モンテイロ(25=ブラジル)を6―4、7―6(7―3)、6―4のストレートで撃破した。今大会には前哨戦を“パス”してぶっつけ本番で臨み、最大のテーマだった「省エネ」と「体力温存」は何とかクリア。万全の状態で2回戦へ…といきたいところだが、やっかいな課題も残されている。

 約1か月前の全仏オープンで、4回戦を突破した錦織は準々決勝で“赤土王者”ラファエル・ナダル(33=スペイン)に完敗。試合中に右上腕を痛め、顔をゆがめたシーンは記憶に新しい。原因は4回戦まで13時間22分も戦ったことによる疲労だ。1月の全豪オープンでも4回戦まで13時間47分も戦い、同じように準々決勝で体が悲鳴を上げて棄権。悲願の4大大会制覇には、いかに体力を温存して試合時間を短縮するか、これが大きな課題だった。

 そのため錦織は、右上腕痛もあって前哨戦を回避してウィンブルドンに臨んだ。「リフレッシュできた」と口にしたように、この日は“時短”を意識したプレーを随所に見せた。球足が速い芝コートではネットプレーが勝敗を分ける。その鉄則に従い、錦織は第1セットから果敢に前に出た。要所で効果的なボレーを決め、サーブアンドボレーも披露した。

 試合後は「なるべく前に出て、サーブアンドボレーを交ぜることも必要だと思った」と振り返ったように、もくろみ通りのストレート勝ち。全豪オープン、全仏オープンの平均試合時間が3時間を超えていたことを考えると、この日の試合時間2時間9分は合格点だ。戦況を見守ったGAORAテニス中継解説者の佐藤武文氏(47)も「前哨戦をスキップしたことで、結果的に時間短縮につながり、体力温存できたと言えるでしょう」と及第点を与えた。

 しかし、その上でどうしても引っかかる場面があったという。それが第2セットの終盤、5―4でサービングフォーザセット(SFS=サービスゲームをキープすればセットを奪える状況)で落とした第10ゲームだ。

「2年前までの錦織選手は、こういう場面で必ず取っていた。今の彼を見て思うのが、視線のコントロールが以前と違う。それまでSFSの前にはタオルを頭からかぶるなど雑念を取り払って集中していたが、最近はカジュアルにSFSに臨んでいる。いつでも取れるという自信なのか、とにかくスッと取り切れず、ズルズルいってしまう」

 結局、ここでブレークを許し、このセットはタイブレークにもつれた。スッキリ取っていれば1時間台で決着していただけに、試合後に錦織自身も「2セット目5―4で落としたり反省点もある」と話している。

 悲願を達成するにはSFSで初心に帰るべし――。これが今大会2回戦以降の最大テーマだろう。