実現すれば東京五輪の超目玉だ! テニスの世界ランキング1位、大坂なおみ(21=日清食品)は全仏オープン女子シングルス3回戦(1日)で敗れ、4大大会3連続優勝の偉業を逃した。今後は7月のウィンブルドン選手権、連覇を狙う8月開幕の全米オープン、さらには来年の東京五輪での金メダルに期待がかかるが、水面下で仰天プランが浮上。なんと男子エースの錦織圭(29=日清食品)と東京五輪で混合ダブルスペア結成――という夢のような話だ。本紙はその可能性に迫った。

 大坂は全仏オープン3回戦で世界ランク42位カテリナ・シニアコバ(23=チェコ)に4―6、2―6でまさかのストレート負け。4大大会3連続Vの快挙は消え、試合後は「頭痛やストレスもあり、自分のプレーではなかった」と落胆した。

 苦手なクレー(赤土)コートの全仏制覇は来年以降にお預けとなった一方で“夢の話”が一部で進行している。それが東京五輪で大坂&錦織の混合ダブルスペア結成案だ。日本テニス協会のある理事はこう真剣に語る。

「2人が組めば日本中が盛り上がる。体力面は心配だが、混合ダブルスはお祭り的な要素もある。せっかく五輪が日本で開催されるのだから、ぜひ実現してほしい」

 現在、2人は東京五輪出場の意向を明かしており、ともに国別対抗戦(女子はフェド杯、男子はデビス杯)の規定出場数をクリアすれば出場確実。混合ダブルスにはシングルス、ダブルスの出場資格を持つ者がエントリー可能だ。日本テニス協会の土橋登志久強化本部長(52)は「最終的に選手の意向を優先し、現地で相談しながら決めることになる」と説明する。

 ドリームコンビ結成について「政治的な兼ね合いも無視できない」と指摘する関係者もいるが、両者のメインスポンサー(日清食品)、所属事務所(IMG)が一緒というのは好都合。何より「錦織はファンが求めているものを理解している。盛り上がることなら、彼はやりますよ」(錦織に近い関係者)との証言は現実味を感じさせる。また、東京五輪の混合ダブルス出場枠は16組で、決勝まで戦っても4試合。現在、錦織は男子ダブルス(32組)の出場も示唆しているが、試合数の少ない混合ダブルスに切り替える可能性もありそうだ。

 話題性以外のメリットもある。女王の重圧を受ける大坂は「頭痛」と「ストレス」を訴えるなどテニスを楽しむ姿とは程遠い。東京五輪ではさらなるプレッシャーがかかるが、錦織とのペアが“気分転換”になる側面もあるだろう。

 実際、昨年11月のチャリティーイベントで2人は初めてペアを結成。ポイントを取るたびに笑みを浮かべてハイタッチを求める錦織に対し、大坂はわざと無視して笑いを誘い、会場は大盛り上がりとなった。試合後、大坂は「とても楽しい試合でした」と笑顔。公式戦での混合ダブルス実現についても「可能性はあるかもしれない」(錦織)、「それには練習が必要ね」(大坂)と前向きだった。

 一方で慎重派もいる。土橋強化本部長は本紙に「面白いし可能性はゼロではないが、他にも選手がいる。一方的な都合では決められない」と冷静に語る。猛暑の中での大会だけに、疲労やケガのリスクを危惧する声もある。

 前回大会の2016年リオ五輪ではスイス代表のロジャー・フェデラー(37)とマルチナ・ヒンギス(38)の「最強ペア」が誕生寸前で消滅した。日本が誇る男女エースの合体はまだ「案」の段階とはいえ、最終的には本人たちの心ひとつだ。