大坂なおみ新コーチ “超エリート肩書”USTA=米国テニス協会コーチ

2019年03月02日 11時00分

新コーチを決めた大坂。復調なるか?(ロイター)

 注目の新コーチは“超エリート”だった。女子テニスの世界ランキング1位・大坂なおみ(21=日清食品)は28日、新コーチとしてジャーメーン・ジェンキンス氏(34=米国)を迎え入れたことを自身のインスタグラムで発表した。新パートナーには選手としての実績はないものの、その経歴をひもとくと、今の大坂に最も必要な「安心」と「信頼」が保証された指導者と判明。その素顔に深く切り込んだ。

 今年1月に全豪オープンを制覇し、世界ランキング1位となった大坂。日本中が祝福ムードとなった一方、その直後には快進撃をともに歩んできたサーシャ・バイン・コーチ(34)と不可解な決別をして世界中のファンや関係者を驚かせた。

 その理由について「幸せよりも成功を優先することはない」と意味深なコメントで説明し、新たなコーチに求める要素として「ポジティブな考えを持っていること。私のいないところで何かを言うのではなく、直接言ってくれる人がいい」と発言。バイン氏との契約解除は人間関係のもつれが原因と言わんばかりであった。

 コーチ不在で臨んだドバイ選手権では格下相手にまさかの初戦敗退という大失態。世界1位を守るためにも、前回覇者として出場するBNPパリバ・オープン(3月6日開幕、カリフォルニア州インディアンウェルズ)までに最適な新コーチを選ぶことが急務とされ、最近では日本テニス協会の関係者にまで世界中のマスコミから“探り”の電話が殺到する異様な事態となっていた。

 そんな中、ついに新コーチに就任したのがジェンキンス氏だった。2015年7月から4大大会通算7勝のビーナス・ウィリアムズ(38=米国)の専属ヒッティングパートナーを務め、一時低迷していたビーナスを復活させた。今年1月7日には米国テニス協会(USTA)の女子ナショナルコーチに就任。現役時代は男子シングルスで世界1386位が最高で180センチ、77キロという体格を見ても一流プレーヤーとは言い難いが、ヒッティングパートナーとしての手腕は高く評価され、実績も十分ある。しかし、ジェンキンス氏を最も評価すべきは「USTAコーチ」という肩書なのだ。

 海外テニス事情に精通する指導者でGAORAテニス中継解説者の佐藤武文氏(47)は「USTAのコーチというのはレジェンドプレーヤーか、人として信頼を置ける人物か。特にジェンキンス氏は、中枢のコーチとして一目置かれた存在なんです」と説明。クレムゾン大(サウスカロライナ州)を卒業し、トップ選手の練習相手を務めたジェンキンス氏は、フェド杯のヘッドコーチを務めた経験もある超エリート。一度、人間関係でコーチと破綻した大坂陣営にとって、どこの馬の骨か分からないコーチだけはNG。今回のようにUSTAの中枢に抜てきされた優秀な人材であれば、“精神安定剤”としては最適だろう。

 ジェンキンス氏が加入した「チームなおみ」は、理学療法士クリスティ・スターさん、フィジカルコーチのアブドゥル・シラー氏が続投。コーチ以外の2人が旧知というのも「信頼」を求める大坂にとって最適の選択だ。さらに、新コーチの弟のジャーマー・ジェンキンス氏は、ビーナスの妹のセリーナ・ウィリアムズ(37)のヒッティングパートナー。大坂が尊敬する姉妹と関係深いコーチという点も“精神安定剤”になるだろう。

 いずれにせよ、この人事が吉と出るか、凶と出るか。次戦は注目だ。

【世界1位のウラでバイン前コーチと亀裂】そもそも大坂の大ブレークを演出したのはバイン氏だった。2017年末にコンビを結成。精神面に難があった大坂に対し、オンコートコーチングで「君はできる」などのポジティブな言葉で励まし、女王のメンタルを支えてきた。

 そのかいあって大坂は18年全米オープンで日本人初制覇。二人三脚で4大大会を制した大坂は国民的スターとなり、バイン氏も指導力が高く評価され、昨年12月には女子テニス協会(WTA)年間最優秀コーチ賞に輝き「何という光栄だ。生徒が素晴らしいと、いいコーチになるのは簡単だ」とコメントした。

 昨年末にはコーチ契約を更新。今年1月の全豪オープンも制し、グランドスラム大会2連勝と好成績を収め、ついに念願だった世界ランキング1位に上り詰めた。ただ、その裏で2人の関係に“亀裂”が入っていた。大坂は2月12日に「この先、サーシャと一緒に仕事はしません」と契約解消を発表し、世界に衝撃を与えた。

 臨時コーチに日本テニス協会の吉川真司氏(41)を迎え、第1シードで臨んだ2月のドバイ選手権では初戦の2回戦でストレート負け。今後の動向が注目されていた。

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