【UAE・ドバイ27日発】またも番狂わせだ。男子テニスのドバイ選手権シングルス2回戦で、第1シードで世界ランキング6位の錦織圭(29=日清食品)は同77位フベルト・フルカチュ(22=ポーランド)に5―7、7―5、2―6で敗れた。先日の女子の同選手権シングルスでは世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が格下に敗れており、男女の日本人エースがともに大金星を配給する形となった。

 試合序盤から初対戦のフルカチュに押されまくった。196センチの長身から打ち下ろされる時速220キロを超える強烈なサーブに手を焼き、第1セットを落とす波乱。第2セットは巻き返したが、第3セットに入ってもストロークのミスが目立ち、珍しくラケットを投げつけるシーンも。試合後は「第1サーブが大事な時に入らなかったのが、一番リズムが崩れる要因になった」と反省の弁を述べた。優勝なら自己最高タイの世界ランク4位に躍り出るはずだったが、第1シードと思えぬふがいない結果となった。

 多くの課題を残した今大会。GAORAテニス中継解説者の佐藤武文氏(47)は「最近はネットプレーが効果的ではない」と指摘する。ここ数年、錦織はロジャー・フェデラー(37=スイス)のようなネットプレーを強く意識してきた。しかしABN・AMROワールド(オランダ)でも相手に見透かされるなど完成形とは言いがたい。フルカチュ戦でも効果的に前に出るシーンはほとんどなかった。佐藤氏は「相手の裏をかくヒラメキ、錦織選手らしい“遊び心”にあふれたプレーではない。ネットプレーをしなければ…という気持ちが見受けられる」と語る。

 昨年のこの時期は故障からの復帰明けだった。世界トップ5返り咲きへ、失効ポイントが少ない2、3月が稼ぎ時だけに「何かを修正しないといけない」という錦織は課題のネットプレー克服が急務となりそうだ。