錦織モデルのラケットが爆売れ

2019年01月31日 16時30分

錦織が今季から使用するラケットが大反響を呼んでいる(ロイター)

 なおみフィーバーに負けじと大ヒット! テニスの全豪オープン男子シングルスでベスト8入りを果たした錦織圭(29=日清食品)のラケットが脚光を浴びている。同大会の女子シングルスを制し、いまや時の人となった大坂なおみ(21=同)は連日、経済効果や関連グッズなどで大きな話題を集めているが、右手首の故障から立ち直った錦織も世界ランキングで7位にまで上昇。完全復活を支える“商売道具”に迫った。

 錦織が今シーズンから使用するラケットはウイルソン「ウルトラツアー95CV」。本人が希望する「打球の柔らかさ」と「バウンド後の伸び」に特化されて開発され、スイートスポットが2・7%広がった省エネ反発ラケットだ。

 昨年末のATPツアー・ファイナル終了後に使用を開始すると、オフのイベントやエキシビションで早くも好感触。年明け一発目のブリスベン国際でいきなり優勝を飾り、続く全豪オープンでは数々の激闘を演じて8強進出。準々決勝のノバク・ジョコビッチ(31=セルビア)戦ではさすがに体が悲鳴を上げて棄権したが、戦い切った試合では“無敗”を続ける。

 錦織にとって今回のラケット(ウイルソン製)は16本目。ラケット開発を担当する道場滋氏(45)は「彼の満足げな顔からして、過去最高のラケットと言えるかもしれません」と自信満々だ。試合で初使用した錦織もすぐさま道場氏に「効いてます!」と連絡し、使い心地に大満足。それと並行するように昨年12月上旬から「錦織モデル」(3万6000円=税抜き)として全国のテニスショップで発売されるとすぐに予約が殺到した。

 ブリスベン国際Vで火がつき、全豪オープンでは激闘続きで5戦14時間39分もテレビで中継されたことが影響してか、現状で年間1万本の“大台ペース”で売れているという。道場氏は「年間で1万本売れれば超大ヒット。年明けでいきなり優勝するとはこんな“メーカー孝行”な人はいない。おかげさまで営業は大変。(商品が)ない、ないで怒られっぱなしです」とうれしい悲鳴が止まらない。

 爆発的な人気の理由は単に「錦織が使っているから」だけではない。テニス経験が長いファンほど感触に満足しているようで、やはり世界7位が“プロデュース”したことも大きいようだ。

 錦織を小学5年生の時から知る道場氏は「彼はラケットに対して繊細になるに従って世界ランキングが上がってきた」。もともとピアノを習っていた錦織は、キュウリの千切りもプロ並みと言われるほど手先は繊細だという。その感性はラケットを持つとさらに磨かれるといい「フレームにセロテープが付いているだけで、目隠ししても分かる。ウイルソンは誤差が少ないメーカーですが、彼と(ロジャー)フェデラーだけは1グラムの違いでもすぐに気付きますよ」(道場氏)。

 そんな驚異の感性を持つ男が、何度も試し打ちして作り上げた血と汗の結晶。これまでも一級品はたくさんあったが、開発サイドが「過去最高」とお墨付きを与えたとなれば今後の活躍も期待大だ。次戦のオランダ・ロッテルダム(2月11日開幕)の大会も「ウルトララケット」に注目したい。

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