【オーストラリア・メルボルン26日発】テニスの全豪オープン女子シングルス決勝で、世界ランキング4位の大坂なおみ(21=日清食品)が同6位のペトラ・クビトバ(28=チェコ)を7―6、5―7、6―4で下し、日本人初の同大会優勝を果たした。昨年の全米オープン制覇に続く4大大会2連勝となり、加えて世界ランキング1位の座を確定させ、日本テニス史に金字塔を打ち立てた。

 勝利の瞬間、コートにしゃがみ込んだ。何度も追い詰めながら、テニスの神様は簡単に勝たせてくれない。様々な思いが交錯し、歓喜に浸った。

 試合はダブルフォルトからスタートする不安な滑り出し。その後は落ち着きを取り戻して幸先良くキープした。クビトバのレフティー特有の外に逃げるスライスサーブに翻弄されたが、190キロを超える高速サーブがさえわたるなど、お互いにブレークを許さず試合は進んだ。

 一進一退の攻防が続いてタイブレークに突入すると、大坂が一気に流れをつかむ。この試合初のブレークを奪うとサービスエース、フォアハンドウイナーを連発して7―2で制し、第1セットを奪った。

 第2セットは第2ゲームで先にブレークを許したものの、第3、5ゲームでブレークして優位に立つ。栄冠が刻一刻と近づく中、5―3で迎えた第9ゲームで40―0とチャンピオンシップポイントとしながら逆転を許し、第10ゲームでもブレークされてしまう。結局、あと一歩まで追い詰めながら第2セットを落としてしまった。

 第3セットは第3ゲームでデュースの末にブレークで先手。その後、サービスゲームはパワフルなサーブと力強いストロークで制して主導権を握る。そして5―4で迎えた第10ゲーム、ついにその時はきた。サービスエース、ウイナーなどで40―15と追い込むと、最後はサービスエースで世界ナンバーワンの座をつかみ取った。

 昨年の全米オープンで日本人初となる4大大会を制覇。パワフルなプレーとは裏腹に、たどたどしい日本語と愛くるしい表情が人気を博し、その独特な言い回しは〝なおみ節〟と呼ばれた。国民的スターとして一気に注目を浴び、オフもイベントに引っ張りだこ。2019年はそういったプレッシャーとの闘いを課題に掲げ、何度も「メンタルの向上」と自身に言い聞かせてきた。

 年明けのブリスベン国際では試合途中で精神的不安定になり、ふてくされるシーンもあった。今大会は「イライラしない」と我慢に徹した。この日はしゃがみ込んだり、叫んだり、ラケットを投げかけたり…と動揺するシーンも見られたが、メンタルが崩れ、気持ちが切れることは決してなかった。

 4大大会2連続Vは15年に全仏オープン、ウィンブルドンを連勝したセリーナ・ウィリアムズ(37=米国)以来の快挙。そのセリーナを破って全米オープンを制覇した後の表彰式では「みんな、彼女を応援していたのを知っています。こんな終わり方ですみません」と号泣したが、この日は満面の〝なおみスマイル〟で、日本のテニス史に新たな名を刻んだ。