“なおみフィーバー”はほぼ全開!? 女子テニスの東レ・パンパシフィック・オープン第3日(19日、東京・アリーナ立川立飛)、シングルス2回戦に登場した全米オープン覇者で世界ランキング7位の大坂なおみ(20=日清食品)が同30位ドミニカ・チブルコバ(29=スロバキア)を6―2、6―1のストレートで下し、準々決勝に進んだ。凱旋試合を圧倒的な勝利で飾りフィーバーはさらに過熱しそうだが、一方で先週に「ほぼ」の2文字をめぐる騒動が勃発して話題を呼んだ。その意外な顛末とは――。

 全米オープンを制し、日本人初の4大大会(グランドスラム)シングルス制覇を成し遂げた大坂が、序盤からその力を存分に発揮した。第1セット第1ゲームで相手のサービスをいきなりブレークすると、その後も強烈なサーブ、リターンを武器に圧倒。5―2で迎えた第8ゲームには15―30から150キロ台のセカンドサーブでエースを奪うと、ここから3連続サービスエースで、第1セットをものにした。第2セットに入っても勢いは衰えず、わずか59分で決着。試合後の会見では「今日の内容は80%ぐらい。自分の限界が分からないので100%とは言えないが、高いレベルの試合ができた」と、自身のプレーを振り返った。

 凱旋試合の初戦で圧巻のプレーを見せた大坂が手にしていたのは「ほぼ市販品」として話題を集めているヨネックス社製のラケット「EZONE(イーゾーン)」だ。14日には同社がこれまでの説明に誤りがあったとして、訂正のリリースを出した。

 一部では大坂のラケットが市販品であるかのように報じられたが、リリースでは「同選手の要望に併せて調整を施しており、結果現在販売している商品とはラケットの形状やグロメットも厳密には異なっております」と説明。メディアの取材を受けた際の説明が「事実と相違しておりましたため、正確なものではございません。ここに深くお詫びして訂正させていただきます」(原文ママ)と謝罪している。

 事情に詳しいテニス関係者は「ヨネックスは当初から『ほぼ市販品』としていたのですが、ワイドショーなどでは連日『ほぼ』を付けずに『市販品』と報じていた。この状況にどう対処すべきか。社内で検討を重ねた結果、あのリリースになったようです」と解説する。市販品との違いは重さ、バランス、形状などいくつかあるが、いずれもわずかなもので「ほぼ」の2文字がついていれば、なんら問題のない状況だった。

 同社では本紙の取材に、数日間、社内で話し合いがあったことを認めた上で「ご批判を受けることになっても、消費者の皆様の誤解を解くべきと判断しました。実際には好意的な反応が多く安心しています」とコメントした。スポーツ用品大手が「ほぼ」の文言について謝罪するか、何日も会議をするとは…それだけ、大坂の影響力が半端ない証拠だろう。

 実際、その反響はすさまじい。大坂が使用するEZONEには色違いのブルーとグリーンがあるが「大坂選手と同じブルーだけが全米オープンの後、4倍の売れ行きになりました」。これまでにも同社のラケットがグランドスラムを制したことは何度もあるものの、これだけの売り上げ増は初めてだという。

 大坂はこの日の試合後にコート上で行われたインタビューで、日本のファンからの呼び名を「なおみちゃんがいい!」と自ら笑顔でリクエストした。圧倒的な実力に加え、愛らしいキャラクターでもファンの心をつかんでいるだけに人気はまだまだ上昇気配。今後も本人だけでなく、その周辺からもさまざまな話題が飛び出すことは、ほぼ間違いない。