【ニューヨーク5日(日本時間6日)発】テニスの4大大会最終戦、全米オープン(ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)第10日、男子シングルス準々決勝で第21シードの錦織圭(28=日清食品)は世界ランキング7位のマリン・チリッチ(29=クロアチア)を2―6、6―4、7―6(7―5)、4―6、6―4で破り、2年ぶりに4強入りを果たした。また、女子シングルス準々決勝では第20シードの大坂なおみ(20=日清食品)も世界ランク36位のレシア・ツレンコ(29=ウクライナ)に6―1、6―1で完勝し、初の4強入り。同種目の日本勢としては全米では初、4大大会でも1996年ウィンブルドン選手権4強の伊達公子以来22年ぶりの快挙となった。

 最終セット第10ゲーム、チリッチのサービスゲームで錦織は勝負に出た。30―15から214キロの弾丸サーブを返してマッチポイントを握ると、最後は「100%こっちにくると思って待っていた」と210キロのサーブのコースを読み切ってフォアのカウンター。完璧なリターンエースで4時間8分の死闘に終止符を打った。
 
 相手のチリッチには4年前の決勝で敗れ、初優勝を阻止された。因縁の戦いでリベンジを果たそうと意気込んでいたが、やはり簡単な試合にはならなかった。第1セットは2つのブレークを許し、わずか34分でダウン。第2セットも第6ゲームでブレークされて2―4と追い込まれた。
 
 だが、ここでチリッチに生まれた隙を見逃さなかった。続く第7ゲームで丁寧なリターンからミスを誘ってラブゲームでブレークバックに成功。第9ゲームにはリターンのポジションを変えてプレッシャーをかけると、チリッチはたまらずダブルフォールトで自滅。このセットを奪った。
 
 第3セットは第1ゲームでブレークに成功したが、第8ゲームで取り返されてタイブレークに突入。ここでも錦織は粘りを発揮し、3―4とリードされてから逆転した。

 第4セットはチリッチに圧倒されて失ったが、抜群の勝率を誇る最終セットに入ると、錦織がペースを握った。第8ゲームでブレークポイントを握りながら詰めを欠いて嫌なムードになりかけたが、粘り強いプレーに徹するとチリッチのイライラが爆発。気温35度の酷暑の中でも、錦織は最後まで冷静だった。

「今日は正直、苦しかった。自分のテニスができない中で耐えるしかなかった。良くない中でも戦うことだけ考えた。最後は集中してリターンだけだった」と試合後はホッとした様子だった。これで全米では2年前に続いて3度目の4強入り。悲願のグランドスラム制覇も見えてきたが「正直、レベルを上げたい。凡ミスも多かったし、サーブも入らない。修正して次に臨みたい」と7日(同8日)の準決勝に向けて気を引き締めた。