卓球の世界選手権個人戦(ドイツ)の女子シングルスで、17歳の平野美宇(エリートアカデミー)が日本女子では48年ぶりに銅メダルを獲得した。男子でも13歳の張本智和(エリートアカデミー)が活躍。混合ダブルスでは吉村真晴(23=名古屋ダイハツ)、石川佳純(24=全農)組が日本勢48年ぶりの優勝を果たす中、若手の躍進は2020年東京五輪に大きな期待を抱かせた。平野は3日の準決勝で世界ランキング1位の丁寧(26=中国)に敗れたが、その強さを世界に証明。東京五輪ではさらに「世界が恐れる存在」になるという。

 平野は4月のアジア選手権(中国)で丁寧ら中国トップ3に勝って優勝し、世界を驚かせた。今回は2回続けて負けられない世界女王の気迫のプレーに敗れたが「収穫のほうが多い。メダルを期待されている中で取れてよかった。もっと成長したい」と手応え十分だ。

 今大会は平野、男子の張本と、将来有望と見込まれた若手に英才教育を施す「JOCエリートアカデミー」の選手が期待通りの活躍をした。中でも平野は、48年ぶりのメダルを日本に持ち帰った。17歳の今後の成長に太鼓判を押すのは、日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長(58)だ。

「すでにスピード、打つタイミングの速さは中国のどの選手より勝っている。平野は筋力トレーニングをスタートさせたばかり。これからどんどんパワーがついていく。違うサーブやレシーブを覚え、技も増える。2020年東京五輪の時には、平野と中国選手の差はかなり広がっていると思います」。スピードに加え、パワーをつけた平野が驚異的な強さで世界を圧倒するという。

 世界選手権の展望で、宮崎氏は本紙に「丁寧以外の選手では平野を止められない。丁寧は徹底的に平野の攻撃を封じる作戦をしてくるでしょう」と話していた。その言葉通り、経験豊富な丁寧は徹底的に平野を分析し持ち味である素早いラリーを封じた。4日の決勝も勝って2大会連続3度目の世界一となったが、女王は26歳。今後の伸びしろは17歳の平野のほうが圧倒的にある。また「平野は頭がいい。試合の組み立て方も非常に考えられている」(日本卓球協会関係者)と、頭脳も一級品。3年後に迫った東京五輪で頭一つ飛び抜けた存在になっていてもおかしくないのだ。

 中国でも、平野と丁寧の一戦を大きく報道。ポータルサイトの捜狐体育は、中国コーチの「客観的に見ても、平野は中国主力と拮抗する力を持っていると思う」とのコメントを伝えた。世界最高峰の舞台で実力を発揮し、力を認められた平野の3年後が楽しみだ。