【パラヒーローズ】卓球・岩渕幸洋は〝脱・常識〟伊藤美誠のプレーも参考に

2020年11月08日 10時00分

笑顔で東京大会への意気込みを示した岩渕(提供・スヴェンソンスポーツマーケティング)

【Restart パラヒーローズ その壁を乗り越えろ(17)】「最強世代」の呼び声高い1994年生まれのアスリートたち。メジャーリーグで活躍する大谷翔平(26=エンゼルス)やバドミントンの桃田賢斗(26=NTT東日本)ら多くの一流選手が名を連ねる中、パラ卓球の岩渕幸洋(25=協和キリン)の存在を忘れてはならない。日本のエースは、ある選手を参考に究極の目標を掲げている。

「自分が障がい者っていう認識は全くなかった」。生まれつき両足首に障がいを抱えながらも、当たり前のように周りの子供たちとスポーツに取り組んでいた。活発な少年に転機が訪れたのは、中学3年のころだった。たまたま足を運んだスポーツクラブのコーチがパラ卓球の審判を務めていたことから「パラ卓球を勧めてもらって大会に出るようになった」。導かれるようにパラ卓球の世界へ足を踏み入れた。

 ところが、いざ参戦してみると「結果が全然出ずにびっくりする」ばかり。選手それぞれが体の使い方に合わせて繰り出すオリジナル技の前に、思うようなプレーをさせてもらえなかった。それでも「少しずつステップを踏めた」と地道に努力を重ね、国内外の大会で好成績をマーク。大学4年時にリオパラリンピックに出場を果たすと、一昨年の世界選手権ではシングルスで銅メダルを獲得した。

 しかし、満足はしていない。出場が決まっている東京大会ではかねて「金メダル以上」と公言。自身の結果だけでなく「パラ卓球の面白さやパラスポーツの素晴らしさを伝えられるようなパフォーマンスをする」と闘志を燃やす。

 ポイントは“脱・常識”だ。卓球女子で世界ランキング2位の伊藤美誠(20=スターツ)のプレーを「技術的なところでも参考にさせてもらうことはある。常識にとらわれないというか、プレースタイルが我が道を行く感じなので、それはすごくいい」と分析した上で「自分に合った練習とか、相手を想定してパターンを決めてやるとか、そういったふうになりがちだったが、自分の中での垣根を払う」ことを今は心掛けている。

 あえて実業団の選手と同じメニューをこなしながら新たな形を模索中。来夏に最高の輝きを放つための準備は着々と進んでいる。

 ☆いわぶち・こうよう 1994年12月14日生まれ。東京都出身。中学1年で卓球を始め、中学3年でパラ卓球に出合った。当初は独特な技術や戦術に戸惑いながらも徐々に才能が開花し、大学4年時にはリオパラリンピック出場。大学卒業後は、五輪選手を輩出してきた実業団の名門・協和キリンで腕を磨く。現在は世界ランキング3位で東京大会の代表に内定。生まれつき両足首に障がいを抱えるが、左足に装具を着けてプレーしている。162センチ、57キロ。

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