【卓球】吉村真晴を直撃 五輪初採用の卓球混合ダブルスで日本は中国倒せるか

2020年07月07日 16時00分

オンライン取材に応じる吉村

 練習制限は問題ないのか。1年延期となった東京五輪に向けて、卓球男女代表が6月から合宿を再開。しかし新型コロナウイルス感染予防のため日本協会の方針で、当面はダブルスの練習ができない状態が続く。五輪で初採用となった混合ダブルスへの影響が気になるところだが、2016年リオ五輪男子団体銀メダルで17年世界選手権混合ダブルス金メダルの吉村真晴(26=名古屋ダイハツ)は本紙のオンライン取材で不安を一蹴。さらに長年ペアを組んだ“相棒”の素顔も公開だ。

卓球のナショナルチームは先月22日に東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで合宿を再開した。五輪代表は1月に発表された6選手の権利が維持され、来年に向けて調整を続けている。リオ五輪男子団体で銀メダルを獲得、石川佳純(27=全農)とペアを組んだ2017年世界選手権混合ダブルスでは優勝など実績がある吉村は五輪延期をどう受け止めているのか。

 吉村 やっぱり世界選手権を制したときはミックス(混合)ダブルスが東京五輪の種目になるという噂も聞いていたので(パートナーの石川と)「狙っていくしかないよね」「頑張ろうね」と話していた。でも、1月に代表が決まった時点で自分の中では区切りがついていたので、延期にも動揺しなかったし、代表選手に頑張っていただきたいと率直に思った。

 東京五輪で初採用の混合ダブルスは水谷隼(31=木下グループ)と伊藤美誠(19=スターツ)が選出された。昨年はコンビ結成から間もなくワールドツアーで優勝を飾るなど相性の良さは証明済みだが、世界選手権のような大舞台では経験がなく、来夏の五輪での実力は未知数。“ミックスの名手”はこのペアの強さをどうみているのか。

 吉村 伊藤選手の高い対応能力や男子にも決定打が通じるところが強さだと思っていて、水谷選手は女子選手に対してミスを誘うプレーやもちろん決め球もある。お互いしっかり役割分担ができていて、2人とも(得点を)決められるし、ミスが少ないのでミックスにおいては理想的なペアリング。まだまだ強くなる余白があるというか、コンビネーション能力が向上して、攻めのパターンも増えるだろうし、金メダルを狙えると思う。想像しただけで楽しみ。

 打倒中国へ卓球ニッポンの強化活動は徐々に本格化しそうだが、一方で日本協会は感染予防でダブルスの練習を見合わせている。中国のナショナルチームはトレーニングを継続しており、このままでは五輪の混合ダブルス初代王者は黄信号かと思いきや…。

 吉村 細かい技術的な調整は難しいのでもちろん痛手ではあるが、決して最悪というわけではない。ダブルスはコンビネーションを高めていく上でお互いの考え方を共有することも必要。例えば試合を見て「私はこう思う」「僕はこう思ったから次はこうしよう」とコミュニケーションを重ねることで感覚的な部分だけど、プレーができるようになったときに気を使わなかったり、「この前言ってたやつね」と楽しくできたりする。これを機に、新たな考え方や戦術が生まれる可能性もあるのかなと。

 水谷&伊藤ペアへの期待はもちろんだが、吉村は長年コンビを組んできた石川にも注目している。昨年の世界選手権では負傷した張本智和(17=木下グループ)の代役で急きょ混合ダブルスに出場し、石川との“急造タッグ”で準優勝。そんな相性ばっちりの「相棒」の素顔を明かしつつ、エールを送った。

 吉村 石川さんはオン、オフがしっかりしていて、普段はめちゃくちゃ女子。気遣いもすごいし、きっと女子力が高い。練習の合間には「吉村君疲れているだろうから。これ、補食あげるよ」と言って補食をくれたり、大会期間中はサプリメントを持ってきて「これ、どう? もしいるんだったらあげるよ」とか。すごくいいお姉さん(笑い)。ただ、卓球が好きだなというのは伝わってくる。ふとした瞬間に卓球の話をしたり、本当に負けず嫌いなんだなと。(ペアを)8年も組んでいるので、東京では大暴れしてほしいし、メダル獲得を期待している。

 ただ、新型コロナウイルス禍終息のめどは立っておらず、東京五輪の開催も不透明なままだ。

 吉村 五輪への楽しみはあるけど、何より命が大切。卓球なんてもろ3密(密閉、密集、密接)というか、湿気があるとできないし、体育館の窓を開けてやるといっても風が邪魔だし…。結構難しいのかなという不安は感じる。

 すでに24年パリ五輪を目指す吉村だが、仲間の活躍を心から願っている。

 ◆よしむら・まはる 1993年8月3日生まれ。茨城・東海村出身。愛知工業大に進学後、2015年世界選手権混合ダブルスで38年ぶりの銀メダル。16年リオ五輪では日本男子初の団体銀メダルに貢献し、17年世界選手権混合ダブルスで48年ぶりの金メダルを獲得。また、急きょ出場となった19年世界選手権でも混合で銀メダルを獲得。混合では石川佳純と8年間ペアを組んだ。日本人の父とフィリピン人の母を持ち、真晴(マハル)はタガログ語で「愛する」を意味する。177センチ。