【どうなる?東京五輪パラリンピック(19)】新型コロナウイルス感染拡大で東京五輪の1年延期が決まり、メダル量産が期待される卓球は男女ともに代表権を維持したまま来年に照準を合わせている。緊急事態宣言が発令されることを予測し、合宿を一時中断するなど日本卓球協会は冷静に対応している中、宮崎義仁強化本部長(60)が本紙の電話取材に応じて今後の展望を語った。スポーツ界がかつてない危機にある中で、卓球ニッポンの現在地とは――。

 すでに東京五輪に臨む代表が決まっている卓球ニッポン。男子の張本智和(16=木下グループ)、女子の伊藤美誠(19=スターツ)らは先月から東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(トレセン)で強化合宿に励んでいた。

 ところが当初19日まで予定の強化合宿は4日に終了。宮崎強化本部長は「(今月に入り)緊急事態宣言が出るだろうと思い、合宿を少し短縮して選手には母体(所属先など)に帰ってもらうことにした」。結果的にトレセンが一時使用停止となり、協会は先手を打った形となった。

 ウイルス感染拡大による五輪延期に伴い、代表の権利は1年後まで維持される。その影響について同本部長は「個人的には心配していない」とし「1年延期になったことによって、強化が滞るとは思っていない。日本だけが不利をこうむるとも思っていないし、日本だけが有利になるとも思っていない」と大きな変化はないとみている。

 それでは世界のトップに君臨する卓球王国・中国の“勢力図”が変わることは考えられるのか。「少しはあるかも。ベテランが少し落ちて若手が急激に伸びるというのはあるから、そこはあると思うけど、それは中国の話。たとえば『今日、隣の晩ごはんは何が出るんだろう?』と考えてもそれは仕方ないこと。対中国のことを考えても結論が出ないので、考えるだけあんまり意味がないと思う」

 一方、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で国際大会がいつ再開されるかも不透明。強化活動も手探り状態が続きそうだ。それでも「ただ、いつスタートしてもいいようにしっかり準備だけはする」と冷静に先を見据えた。

 さらに同本部長は「東京五輪についての環境整備は全部終わっていた段階なので、逆に1年間仕事がなくなったような感じ」と冗談交じりに話す。選手サイドから要望があれば「コーチのことや練習相手のことや個々の事案にはしっかり対応する」と“仕事人”となることを約束した。