卓球女子で東京五輪代表の石川佳純(27=全農)、平野美宇(19=日本生命)コンビの進化が止まらない。ワールドツアー・ハンガリーオープン(OP)ダブルスを制した2人は、準優勝だったドイツOPに続いて世界に強さを見せつけた。

 全日本選手権で3連覇を達成した伊藤美誠(19=スターツ)、早田ひな(19=日本生命)組、昨年のワールドツアー・グランドファイナルで優勝した長崎美柚(17=エリートアカデミー)、木原美悠(15=同)組に比べてコンビとしての実戦経験は少なく、当初は実力を不安視されることもあった。それでも、限られた時間で息の合うプレーを発揮できるようになったのはなぜか。女子代表の馬場美香監督(54)は「やっていない分、伸びしろがあるということ」としたうえで「ミーティングには時間をかけた」と振り返る。

 特に対話を重視した馬場監督は「私が一方的に言うことはせず、本人たちからも意見をもらった」。その理由として「実際、やっている側と後ろから見ている側でズレていたら困る。それにそのギャップはシングルスよりも多くなると思うので」と説明した。石川、平野と個別で話すこともあれば、コンビ同士、監督を含めた3人での“トライアングル女子トーク”が成長につながったようだ。

 一方、本番の団体戦でもダブルス起用が濃厚の同ペアだが、初五輪の平野にかかるプレッシャーは未知数だ。それでも馬場監督は「(3大会連続出場の)石川の経験が非常に役立つのでは。(平野の)緊張が高まってきたときに絶対に必要になってくる」と断言。年齢差はあるが、双方の“対話力”が信頼関係を強めそうだ。

 ハンガリーOPに中国勢は出場しなかったが、今後の激突が楽しみになってきた。